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英雄最強決定戦。全員最強、全員優勝狙い。  作者: 続けて 次郎


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第十四章 弾丸は頁を貫くか

舞台は、崩れかけた巨大書庫だった。


天井は抜け、空が見える。無数の本棚が倒れ、紙片が雪のように舞う。

足場は不安定で、どこからでも攻撃が来るような迷路。


中央に立つアイリスは、静かに銃を構えている。

対するアレクシスは、書を胸に抱き、深く息を吐いた。


黄金の存在が告げる。


「開始」


間髪入れず、銃声。


紅い弾丸が一直線に走る。


アレクシスは即座に書く。


「弾丸は逸れる」


文字が光り、弾道がわずかにずれる。

だがアイリスは、最初からそれを読んでいたかのように、二発目を放つ。


逸れた弾丸を追尾する一撃。


「……速い」


アレクシスは書く。


「距離が伸びる」


空間が引き延ばされる。弾丸との距離が急激に広がる。


だがその瞬間、彼の脳裏からまた一つ記憶が消える。


――自分が初めて本を読んだ日の記憶。


「……っ」


痛みのような空白。


アイリスは止まらない。


連射。


紅い光が空間を埋め尽くす。


アレクシスは必死に書き続ける。


「私は倒れない」

「銃弾は減衰する」

「足場は崩れない」


世界が歪む。


だがそのたびに、彼の中から何かが削れていく。


アイリスは気づく。


彼は、戦いながら消えている。


「……やめればいい」


ぽつりと呟く。


アレクシスは笑う。


「それは、君にも言える」


次の瞬間、アイリスは自分の頭を撃ち抜いた。


轟音。


頭部が砕け、身体が崩れる。


だが数秒で再生する。


「私は、壊れても戻る」


アレクシスは書く。


「再生は遅れる」


アイリスの再生速度が、わずかに落ちる。


彼女は迷わない。


銃を胸元へ向ける。


「……全弾解放」


紅い光が濃縮される。


不滅の中枢、紋章が灼ける。


「時間も、空間も、物語も――撃ち抜く」


放たれた一発は、これまでと違った。


弾丸ではない。


“終わり”そのもの。


アレクシスは書こうとする。


だが、手が止まる。


何を書く?


止まる?

逸れる?

無効化?


違う。


その弾丸は、理屈ではなく“確定”だ。


彼は静かに書く。


「私は、ここで終わらない」


弾丸が貫く。


書庫が崩壊する。


空間が割れる。


紅い光が彼の身体を貫通する。


血が舞う。


書が落ちる。


沈黙。


だが。


彼は立っている。


膝をつきながらも、立っている。


「……君の弾丸は、確かに物語を貫いた」


だが彼は、最後の一文を書いていた。


「弾丸は、決勝を望む」


アイリスの瞳が揺れる。


決勝。


その言葉が、ほんの一瞬、彼女の意思を鈍らせる。


アレクシスは筆を落とす。


「……降参だ」


静寂。


アイリスの銃が下がる。


黄金の存在が告げる。


「勝者――アイリス」


アレクシスは光に包まれ、観戦席へ。


彼の記憶は、いくつも失われている。


だが、彼は微笑む。


「観測は、できた」


舞台が消える。


これで決勝進出は二人。


レオン・アストラ。


アイリス。


理剣と不滅。


最小と無限。


全員最強。


全員優勝狙い。


黄金の存在が告げる。


「決勝戦――開始準備」


空間が変わる。


何もない白。


剣を握る青年と、銃を構える少女。


最後に立つのは、どちらか。

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