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とある門の上の老婆と下人、商い事始

作者:
掲載日:2025/11/15

それから幾日か経った日のことである

老婆は相も変わらず門の上で髢を作ることに精を出していた


そこへ先晩と同じく階段を登る音が聞こえてきた

老婆は身構えた

またしても似たような輩ならば、身を守らねばなるまいと




果たして顔を覗かせたのは


先の下人であった







おいはぎをしたあの日


下人は天露をやり過ごすために別の門に行ったのであった

しかしながら別の門の上には先客がいた

ヒトとしては大きすぎる異形の大男が酒盛りをしていた


下人は阿呆ではない

かえりうちにあいそうな輩には近づかない知恵もある



それでは空き家はないかと探し回ったが

やっと見つけた空き家は、あとからやってきた野武士にとられてしまった



そこで仕方なく元の門の上で老婆から居場所を奪い取ろうとしたのである






「老体には悪いが、この場所を譲ってもらおう!」


下人は階段から一気に躍り出ると

老婆に掴みかかろうとした


だが、老婆も前もって用意したものがある

死体に潜ませておいた鎌である

その鎌を、下人の顔めがけてふりかぶった


「おぬしは先のあやつか!恨み骨髄!

なぜ安易にワシを無き者にできるとおもうたか。」


鎌とはいえ刃物である

下人は近づけぬ

老婆はようようと語る


「…ほう、おぬしこの数日でだいぶんやつれたのう。その上顔や体はアザだらけ。その上刀もない。

おぬしと同じ追い剥ぎにやられたか。強盗にやられたか。」


下人も老婆も相手の優位を取れぬままジリジリと睨み合う



「鎌なぞでやれると考えか?」

下人が問う


「威しにはなる。今みたいにの。

…じゃが、このままというのもつまらぬ。

おぬし、どうじや、髢をともに作り身を立てぬか」


「なんじゃと!

ようそのような気味の悪いことを、のうのうと!」


「じゃが、おぬしそうせねば飢えるぞえ?

おぬしがいれば、門の南側にも商いに行ける。衰微しとる都では、安価なこの髢がよう売れるのじゃ」


下人は沈黙した。





都の南に老婆と孫のような髢売りが現れたのはもう少し先の話である


「ほれ見い、世の中、奪うより作るほうが儲かるんじゃ」

「…偉そうに言うな」

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