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神代記  作者: 両亭
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第六節~第七節

六、五行神見天日主大神曰「正天之天、神之神。宜治全天」然後、譲天日主大神。瀬海神因落自天而不与以治海。瀬海神落海時、水大乱、以生二神。曰「水立神」(曰波神)、「沖立神」(曰潮神)。両神大上下。闇統神見之而称瀬海神。以二神生。曰「水盈神」(曰満潮神)、「水欠神」(曰干潮神)。


六、五行神、天日主大神を見て曰く「正に天の天、神の神。宜しく全天を治むべし」と。然る後、天日主大神に譲る。瀬海神、天より落ちたるによりて与らず以て海を治む。瀬海神海に落ちたる時、水大いに乱る、以て二神を生ず。曰はく「水立神(ミズタチノカミ)」、「沖立神(オキタチノカミ)」。両神大いに上下すれば。闇統神これを見て瀬海神を称ふ。以て二神生ず。曰はく「水盈神(ミズミツノカミ)」、「水欠神(ミズカクノカミ)」。


六、五行神は天日主大神をみて「これこそ天の中の天、神の中の神。全天を治めるのがちょうどよい」といって、大神に位を譲った。瀬海神、天から落ちたので天に関与せず海を治めた。瀬海神が海に落ちたとき、水が大いに乱れた。そうして二神を生んだ。水立神、沖立神という。二柱神がおおいに上下していたのを見て、闇統神は瀬海神をたたえた。そうすると二柱神が生まれた。水盈神、水欠神という。



七、大洋干満以或離或集。背徒神因之凝、遂為一体。背徒神複思弑天、成国於悠遠之地。天日主大神自欲誅之、以紅錦衣大刀、出征。

天日主大神征於遠国、其姿不能観自天地、其光不能至於天地。大神慮之而委闇統神治。闇統不能独治天則、「闇目神」翼賛之。果背徒神被誅。大神戻天、万神讃之。於是、自天日主大神産「天幼日尊」(曰旭神)。然日改、背徒甦。是以、天日主大神複征。

故天日主大神毎日誅背徒神、昼夜交代。


七、大洋は干満し以て或は離れ或は集る。背徒神これによりて凝り、遂に一体を為す。背徒神、()た天を弑さんと思ふ、悠か遠の地に国を成す。天日主大神(おの)づからこれを誅さんと欲し、紅錦衣大刀を以て、出征す。

天日主大神遠国に征けば、其の姿天地より()(あた)わず、其光天地に至る能わず。大神これを(おもんぱか)りて闇統神にゆだねて治めしむ。闇統独り天を治るを能わざれば則ち、「闇目神(ヤムメノカミ)」これを翼賛す。(はた)して背徒神誅せられ。大神天に戻る、万神これを讃ふ。ここにおいて、天日主大神より「天幼日尊(アメノワカヒノミコト)」産まる。然れども日改まりて、背徒甦る。ここをもって、天日主大神複た征く。

故に天日主大神日ごとに背徒神を誅し、昼夜は交代す。


七、大洋は干潮と満潮を繰り返し、離れたり集まったりを繰り返したので、背徒神の身体はこれによって凝り固まりついに一体となった。背徒神はふたたび天の神を殺そうと思って、はるかかなたの地に国を作った。天日主大神は自らこれを倒そうと思って、赤い衣に大刀を携えて出征した。天日主大神が遠国に赴くとその姿は天からも力も見えず、天地にはその光は届かなくなった。大神はこれを心配して、闇統神にゆだねてその間の政治を任せた。闇統神は一人では天を治めるのは難しいと思ったので、闇目神がこれを補佐した。はたして、背徒神は討伐されて、大神は天に戻ってきた。万の神はこれを讃えた。そのとき(その称賛よって)天日主大神は天幼日尊を生んだ。しかし、翌日になると背徒神はよみがえった。そのため天日主大神はふたたび遠征した。こうして天日主大神は毎日、背徒神を征伐するために遠征するので、昼夜は後退するようになった。

六、

水立神:波の神

沖立神:潮(海流)の神。

水盈神:満潮の神

水欠神:干潮の神


七、

闇目神:星の神

天幼日尊:旭の神。

「紅衣~」、天日主大神が紅の衣を着るのは夕日を象徴したもの。

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