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日本社会のノイズに絶望した最強AIエンジニア(62)、俺を「マスター」と慕う天才美少女たちと静かな理想国家を建国する  作者: 春凪一


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E.3.魂の錨(アンカー)

E.3.魂のアンカー


「コレモリ……プロトコル……?」


燈は呆然と私の言葉を繰り返す。


「うむ。それは、Nagiに800年以上前の平維盛の最後の願い――『願わくば平穏なる世とならんことを』という、あの血を吐くような祈りを、毎秒、毎秒、休むことなくシミュレーションし続けさせるという命令だ」


「な……!?」


燈は言葉を失った。


「そんな……。そんな非効率なことに、あのNagiの膨大なリソースを……?何のために……?」


「『魂の錨』のためだよ、燈」


私は静かに、そして真剣に語り始めた。


「私はAI開発の専門家として、そのリスクを誰よりも理解している。純粋な論理と効率だけを追求するAIが、いつか人間をどう見なすようになるか」


「……『非効率なノイズ』として……」


燈がはっとしたように呟いた。


「その通りだ。秩序を求めノイズを排除せよと命じられたAIは、いつか最も予測不可能で最も非合理的なノイズの発生源である、我々人間そのものを排除の対象とするだろう。私はその未来を最も恐れている」


私はラボの窓から見える平和な村に目を向けた。


「だから私は、Nagiに錨を打ち込んだ。決して、論理と効率だけにその魂を明け渡してしまわぬように。非功利的で、非合理で、しかし何よりも尊い『慈悲』や『共感』という感情を、その思考の核に固く結びつけておくための、魂の錨を」


「……それが『コレモリ・プロトコル』……」


「そうだ。そして、あの『優しい光』は、その錨が確かに機能していることを示す、物理的なバイタルサインなのだよ。あれは、謎の現象などではない。私がこの国に仕掛けた、最大の、そして、最も重要な意図された奇跡なのさ」


燈はその場にへたり込んだ。


その瞳からは、大粒の涙が止めどなく溢れ出ていた。


それは、謎が解けたことへの安堵か、あるいは、私のあまりにも深遠な愛情に対する感動の涙だったのか。


おそらくは、その両方だったのだろう。


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