11.5.新しい国の、夜明け
11.5.新しい国の、夜明け
司令室。
私たちは、ただ静かに、その歴史的な瞬間を見守っていた。
響も、燈も、静香も、時雨も。誰も何も言わない。
勝利の歓声はどこにも上がらなかった。
オセロ盤は今や、全てが黒い石で埋め尽くされている。
我々の完全な勝利。
だがそれは、血も涙も、そして喜びの叫びすらも流れない、あまりにも静かなる勝利だった。
「……終わったな」
私がぽつりと呟く。
「……ううん」
響が静かに首を横に振った。
「終わったんじゃない。……始まるんだよ。私たちの本当の国が」
その言葉に、皆が静かに頷いた。
そうだ。これは終わりではない。始まりなのだ。
私は窓の外に目を向けた。
野迫川村の美しい夜空には、満点の星が静かに瞬いていた。
あの800年以上前の、残念なイケメン貴公子が見た星空も、きっとこんな空だったのだろう。
彼の、平穏な世を願う血を吐くような祈り。
それは、長い、長い時を超えて、今この場所に確かに届いたのだ。
私は、新しい仲間たちを振り返った。
最高の頭脳を持つ、四人の愛すべき少女たち。
彼女たちと共に、私はこれから新しい国を創る。
世界で最も静かで、
世界で最も優しくて、
そして、世界で最も責任ある人々が暮らす、理想の国を。
――春凪共和国設立物語。
その本当の序章が、今、静かに幕を開けたのだった。




