表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
日本社会のノイズに絶望した最強AIエンジニア(62)、俺を「マスター」と慕う天才美少女たちと静かな理想国家を建国する  作者: 春凪一


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

46/55

10.3.静寂からの『おすそ分け』

10.3.静寂からの『おすそ分け』


だが、我々の反撃はそれだけでは終わらなかった。


数日後。政府はさらなる嫌がらせとして、野迫川村への電力供給を断続的に停止させ始めた。これも、「送電網のトラブル」という、見え透いた嘘が理由だった。


「停電だあ?ふん、やることがいちいちセコいんだから!」


音楽室で響がぷんぷん怒っている。


「問題ありません。燈さんの開発した次世代エネルギー供給システム『アーク』を、フル稼働させます。村全体の電力を我々だけで賄っても、まだお釣りが来ますわ」


静香は冷静に指示を出す。


その時、燈が何かに気づいたように顔を上げた。


「……待って。この停電、野迫川村だけじゃない。送電網のトラブルというのは、あながち嘘でもないみたい。周辺のいくつかの村も巻き込まれてるわ」


「えっ、本当!?」


響が、モニターを覗き込む。そこには、停電で不便な生活を強いられている、近隣の村々の様子が映し出されていた。


「……チャンスじゃない、これ」


響の目が、いたずらっぽくキラリと光った。


「ねえ、ハジメぴょん!この有り余ってる電気、困ってるお隣さんたちに『おすそ分け』しちゃおうよ!」


さすがは我がチームのトリックスター。


その発想は、常に私の想像の斜め上をいく。


「……うむ。最高のアイデアだ。すぐに準備を」


その日の夕方。


停電で真っ暗になった隣村に、数台の見慣れないトラックが到着した。


我々のロゴマークが入った、移動式の超大容量バッテリー供給車だ。


「えー、お騒がせしております!我々は、お隣の野迫川村から、電気の『おすそ分け』にやってまいりましたー!」


トラックの荷台に立った響が、マイクを持って高らかに宣言する。


「停電でお困りの皆様!どうぞご自由にお使いください!もちろん、料金はタダです!」


真っ暗だった村に、次々と明かりが灯っていく。


家の電気、街灯、商店の看板……。


人々が家から飛び出してきて、その光景に歓声を上げた。


子供たちが、久しぶりに見るテレビアニメに目を輝かせている。


その様子はもちろん、響のドローンによって全世界にリアルタイムで配信されていた。


『日本政府に見捨てられた村々を救ったのは、春凪共和国だった』


そのニュースは、燎原の火のように世界中を駆け巡った。


日本政府の度重なる悪手。


それは、自らの無能さと非情さを、国民の前に晒すだけの結果に終わった。


オセロの盤面はもはや、ほとんどが、黒。


残された白い石は、霞が関の中央に数えるほどしか残っていなかった。


――チェックメイトは、もう目前だった。



――第十部・完――


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ