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日本社会のノイズに絶望した最強AIエンジニア(62)、俺を「マスター」と慕う天才美少女たちと静かな理想国家を建国する  作者: 春凪一


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9.3.最初の『ひっくり返し』

9.3.最初の『ひっくり返し』


「静香、響。準備はいいな?」


「無論ですわ、マスター」


「いつでもOKだよ、ハジメぴょん!」


作戦は単純明快。


まず、静香が世界中の通信社と懇意にしている投資家たちに、一斉にリーク情報を流す。


『日本政府、不当な政治的圧力で国際金融市場の自由を侵害。春凪共和国への投資は、テロ資金には当たらない健全なものである』と。


同時に、響が全世界に向けて、新しいプロモーション映像を配信する。


タイトルは『武器より、ジャガイモを』。


映像は、Comfyが作る温かい料理を笑顔で頬張る村人たちや、響たちが楽しそうに畑仕事を手伝う様子を、感動的な音楽と共に映し出す。


そして最後に、テロップが静かに表示される。


『私たちの武器は、これです。――日本政府の皆さん。あなた方の武器は、何ですか?』


この、静香の『論理』と、響の『感情』による、二方向からの挟撃ハサミうち


その効果は絶大だった。


数時間後。


全世界の金融市場は、大混乱に陥った。


「日本政府の横暴を許すな!」


「市場の自由を守れ!」


「我々は春凪一を支持する!」


投資家たちから怒りの声が上がり、日本円はかつてないレベルで暴落を始めた。


各国の政府も、日本の非難へと回る。


「政治的な目的で金融システムを利用するなど、断じて許されない」


「日本は自由主義経済のルールを著しく逸脱している」


日本政府は、完全に孤立した。


彼らが打ったはずの悪手は、我々によって鮮やかにひっくり返され、今や日本


政府自身を締め上げる巨大な鎖と化していた。


テレビのニュースでは、青ざめた顔で国民に謝罪する総理大臣の姿が、繰り返し映し出されていた。


「……すごい……」


その光景を、時雨はただ呆然と見つめていた。


自分が今まで所属していた巨大な国家権力が、たった数時間で、この小さな学校にいる数人のチームによって、完膚なきまでに打ち負かされたのだ。


暴力も、脅迫も、一切使わずに。ただ、圧倒的な、情報と、論理と、そして共感の力だけで。


これが、春凪共和国の『静かなる戦争』。


その本当の姿だった。


オセロ盤の隅に置かれた最初の黒い石は、今、盤上の景色を根底から塗り替え始めていた。



――第九部・完――


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