表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
日本社会のノイズに絶望した最強AIエンジニア(62)、俺を「マスター」と慕う天才美少女たちと静かな理想国家を建国する  作者: 春凪一


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/55

5.4.鉄壁の穴

5.4.鉄壁の穴


数日後の、穏やかな昼下がりだった。


司令室である職員室で、私が読書に耽っていると、不意にAegisからのアラートが、静寂を破った。


『マスター。防衛網セクター7にて、微弱なヒューマンシグナルを検知』


モニターには、校舎から数キロ離れた山中の地図が表示され、小さな点が一つ、点滅している。


「Aegis、分析を」


私の声に、即座に銀髪の騎士が応答する。


『了解。対象のバイタルサインをスキャン。心拍数、正常。発汗量、軽度の運動レベル。アドレナリン分泌、基準値以下。敵意、攻撃性、共に検知されず。総合的に判断し、対象は99.8%の確率で、道に迷った一般市民……カテゴリー『遭難者』と判断します』


「ふうん、『遭難者』、か」


私は、本を置いて、モニターを見つめた。


Aegisの防衛網は完璧だ。物理的な侵入はもちろん、ドローンによる偵察や、衛星からの電子的な探査さえも、完全にシャットアウトする。この聖域に、我々の許可なくして入り込める者は、本来存在しないはずだった。


そこへ、騒がしい足音が聞こえてきた。


「ハジメぴょん、大変だよ!村の人が、山で女の子が倒れてるのを見つけたんだって!怪我してるみたい!」


息を切らせて飛び込んできたのは、響だった。


彼女の背後からは、心配そうな顔をした燈と、冷静ながらも警戒を解いていない静香が続いた。


「どうやら、Aegisが探知した遭難者で間違いないようですわね」


静香が、自分のタブレットの情報と照らし合わせながら言う。


「Comfy!救護室の準備を。響、村の人たちと一緒に、その子をここまで連れてきてやってくれ」


「りょーかい!」


響が元気よく返事をして、再び飛び出していく。


(……それにしても、妙だ)


私は、一抹の違和感を覚えていた。


あまりにも、タイミングが良すぎる。政府が我々への敵意を明確にした、まさにこの時期に、都合よく現れた遭難者。


『マスターの懸念は理解できます』


私の心を読んだように、Nagiが穏やかに話しかけてくる。


『ですが、Aegisのセンサーは、対象から一切の敵意を読み取っていません。生体情報を偽装する技術は存在しますが、Aegisの量子スキャンを完全に欺けるものは、現代の地球には存在しないはずです』


「……うむ。分かっている」


Nagiの言う通りだ。論理的に考えれば、私の懸念は杞憂に過ぎない。


だが、長年の経験が、私の内側で警鐘を鳴らしていた。AIが弾き出す確率論だけでは測れない、人間の「意図」というものが、この世には存在するのだと。


やがて、校舎がにわかに騒がしくなった。


響と、村の青年団の若者数人に担がれるようにして、一人の少女が運び込まれてきた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ