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名もない冒険の物語  作者: 白雉
第四章
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パルマス大捜索

レナと、レナの友達のフィオラが行方不明になってしまった。あのかわいいレナが...。わたしがあの時、一緒に行っていれば。あの時、わたしが止めていれば...。

ハウルとカレノールは、二人で街にレナとフィオラを探しに出て行った。


ランスとアデルとソニアも、三人一組でレナとフィオラを探しに街へと向かった。

ルヴィが街の地図を持ってきて机の上に広げると、その上に小さな布の切れ端を置いた。

この布切れは、以前、物にマナを定着させる練習をしていた時にレナが使っていたものだ。


ルヴィが布切れに手をかざすと、布切れが光りだした。しかし、その光はすぐに消えてしまった。

それを見ていたアンフィが、「魔法対策がされている場所にいるようじゃな。」と言い、イヴァと話し出した。といっても話し声が聞こえるわけではない。


「イヴァの鼻を利かなくするために、街のあちこちに強い匂いが放たれているようじゃの。」

「私たちのことを知って対策をしているのですね。レナが魔法のことに気が付いてくれれば良いのですが...。」


「ルヴィ、ペルディーニ商会の仕業じゃないの?ペルディーニ商会に行って話をするわけにはいかないの?」

「まだペルディーニ商会が関わっていると特定できたわけではないです。仮にペルディーニ商会が関わっていたとしても、二人に危害を加えるようなことはないでしょう。」


「それは、わからないじゃない。あの時、わたしがレナを止めていれば...。」

「リル、自分を責めてはいけませんよ。このようなことになると、誰も予測できたわけではないのですから。」

「そうじゃぞ、リル。それにしても、仮にペルディーニ商会がレナとフィオラをかどわかしたとして、どのようなメリットがあるのじゃ?」


「分かりませんね。ところで、リル、以前マリアさんがペルディーニ商会に伝手があると話していませんでしたか?」

「うん、言ってたね。お母さまに聞いてみる?」

「そうですね。ペルディーニ商会の内情が分かれば、糸口がつかめるかもしれませんからね」


「ルヴィ、分かったわ。じゃあお母様のところに行ってくる」

「一人で行くのは危険ですから、私も一緒に行きましょう」

ルヴィと二人でお母様の宿屋へと向かった。


宿屋に着くと、お母様にペルディーニ商会のこと、レナとフィオラのことを説明し、協力をお願いした。

「そうですか...しかし、現時点ではペルディーニ商会がレナとフィオラの行方不明に関係していると確定はできませんね。」


「そうなのです。ただ、魔法でレナの位置を特定しようと試みたところ、魔法を阻害する場所にいるようなのです。そのような場所に心当たりはありますか?」

「なるほど...そのような場所は、領主様のお屋敷か、ペルディーニ商会くらいしか思い浮かびませんわね。

 分かりました。私の知人に連絡して、明日の昼までにあなた方のお屋敷に連絡を入れてもらうように手配いたしますわ。」


「お母様、もっと早くならないの?」

「リル、気持ちはわかるわ。でも、無理を言ってはだめよ。」

「ごめんなさい...お母様。」


その後、ルヴィとわたしはギーヴと合流して、街の中を探して歩いた。同じ年頃の女の子は何度も見かけたのに、レナとフィオラは見つからなかった。


日が暮れたので屋敷に戻ると、ランスとアデルとソニアが戻っていた。アンフィはルヴィが広げた地図の前で椅子に座り、その隣の床にイヴァが寝そべっていた。

日が暮れて、だいぶ経ってからハウルとカレノールが帰ってきた。二人の顔には疲れがにじんでいた。


「ハウル、カレノール、ごめんなさい。わたしが...。」

わたしが謝ろうとしたのを遮って、ハウルが険しい表情で話し始めた。

「リル、そんな風に思わないでよ。悪いのは、レナとフィオラを連れて行った奴らだ。それ以外の誰も謝る必要はない。」


「明日、また手分けして探しましょう。カレノール、今日はもう遅いですから、屋敷に泊って行ってください。」

「ルヴィ、ありがとうございます。そうさせていただきます。」


翌日も、日の出とともに四つのグループに分かれて街を探すことになった。

ランスとカレノールは街の北部を、途中で教会に寄って協力を依頼することになっている。

アデルとギーヴは街の東部を、ハウルとソニアは街の西部を中心に回ることになった。


わたしとルヴィはお母様の知人を屋敷で待つことになり、アンフィは街の地図の前で魔法が反応するのを待つ。皆が街に探しに出て間もなく、来客があった。


「皆さん、初めまして。私はリズ・フェアブライトと申します。マリアの幼馴染で、ペルディーニ商会の会計を担っている者です。マリアからの手紙を見ました。

 商会が人さらいをするようなことはないと思いたいですが、最近の商会に問題があることも事実です。

 今日は、商会の所持している建物の見取り図と、給与を支給している人物のリストを持ってきました。何かの役に立つと良いのですが...。」


「リズさん、ありがとうございます。このようなものを頂いてしまってよろしいのでしょうか?」

「あなたがルヴィ君ね。そちらはアヴリルちゃんかしら?他でもないマリアのお願いですから、構いません。

 見取り図の印のある場所は、商会の人間でも一部の者しか立ち入れない場所です。私たちでは立ち入ることができません。

 給与支給者のリストの方で、印がついている人物は、商会内で見かけたことのない人物です。偽名かもしれませんが、性別と年齢も記載があるので参考にしてください。」


そのとき、アンフィが立ち上がって言った。

「レナが、位置を知らせる魔法を使ったようじゃな。」


テーブルの上の地図を見ると、レナの布切れが光を放ちながら地図の上で動き、ある位置に止まった。

リズが地図の上の布切れが止まった位置を見ると、持ってきた数枚の見取り図の中から一枚を取り出した。

「この場所は、商会の西の別館がある場所です。この別館は立ち入るのを許されていない場所がたくさんあるところです。」


そう言うと、リズは別館の見取り図を机の上に広げた。その見取り図には印がたくさんついていた。

すると、街の地図の上の布切れが再び動き出し、別館の見取り図の印のあるところまで移動して止まった。

それを見たルヴィが言った。

「ここで間違いないようですね。」


リズが、眉をひそめて話し出した。

「そうですか、やはり商会は今回の事件に関係してるのですね。」

「申し訳ありませんが、その様です。リズさんはこれからどうされるのですか?」


「これから商会に戻り、辞意を伝えてきます。」

「そうですか。よろしければ、私たちの商会を手伝って頂くわけにはいきませんか?」

「ありがとう、ルヴィくん。考えておきます。しかし、しばらくはマリアのところでお世話になろうと思います。では、失礼します。」


そう言い、リズは屋敷を出て行った。

「リル、皆を呼び戻しに行きましょう。」


ルヴィと二人で、教会に向かった。

教会に着くと、ちょうどランスとカレノールが教会から出てくるところだった。

レナの居場所が分かったことを伝え、屋敷に集まるようハウルとソニアを探してほしいとルヴィが言うと、カレノールは「教会にもそのことを伝えてきます。」と言い、教会に引き返した。

カレノールのことはランスに任せ、ギーヴとアデルを探しに街の東部に移動した。


もしかしたら、お母様の宿に寄っているかもしれない。ルヴィに提案し、一度、お母様の宿屋に行くことになった。

宿屋に着くと、お母様が新しく雇ったエヌマとエスタも忙しく働いている。ロビーには、肉屋のフランツと店員のエミリオ、ボイドが居た。


「フランツおじさん、どうしたの?」

「おう、じゃじゃ...リルとお兄ちゃんも来たのか。なんでもアデルが人探ししてるっていうんで手伝おうと思ってな。」

「ありがとう、フランツおじさん。それで、お母様とお姉様は?」

「この辺りの皆に声かけてるんじゃないか?もうすぐ戻ると思うがな。」


間もなく、お母様とお姉様がギーヴを連れて帰ってきた。


「あら、リル、ルヴィさんも何かありましたか?」

「マリアさん、アデル、おかえりなさい。実はレナの居場所が分かりました。フィオラも恐らく一緒に居ると思うのですが...。」


「なんだ、お兄ちゃん、人探しは終わりかい?で、どこに居たんだい?」

「それが、ペルディーニ商会の西の別館に囚われているようなのです。」


「なんだって!ハーリの野郎、最近良い噂を聞かないと思ったら、今度は人さらいかい。ペルディーニ商会もやつの代で終わりだな。」

「フランツおじさん、ハーリって誰なの?」

「商会の会長だよ。ガキの頃から親の立場を利用して悪さばかりしていてな。

 まあ、人探しも終わりみたいだから、仕事に戻ることにするよ。兄ちゃん、奴らには気をつけろよ。じゃあまたな。」

「フランツさん、ありがとうございます。」


フランツは店に帰っていった。


「それでどうするのですか?ルヴィ。」

「一度皆で集まって策を考えようと思いまして、二人を呼びに来たのです。」

「手伝ってもらおうと声を掛けた方々に事情を説明してから屋敷に戻ります。ルヴィとリルは先に戻っていてください。」


すると、マリアさんがアデルに声を掛けた。

「事情は私が説明しておきます。アデルとギーヴ君はルヴィさんと一緒に屋敷に戻って、今後のことを話し合ってください。」

「お母様、ありがとうございます。では、そうします。後のことはよろしくお願いします。」


四人で屋敷に戻った。ランスやハウルたちは、まだ戻っていなかった。


「ギーヴ、今夜、誰も街から外に出られないようガル達に街道を封鎖してもらうことはできますか?」

「わかった。ガルにお願いしてみるよ。」


「お願いします。ギーヴは南門の外で待機していてください。」

「なんで南門なんだ?ルヴィ。西の別館から近いのは西門だけど、何か考えがあるのか?」

「これは私の感ですので、もしかしたら無駄足になってしまうかもしれません。」

「そうなのか。でもルヴィが言うんだから、間違いないんだろうな。これから行ってくるよ。」


「よろしくお願いします。」

「ギーヴ、気をつけてね。」


ルヴィとわたしでギーヴを見送った。

それからしばらくして、ランスたちが帰ってきた。


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