序。
私の友達は、神様に愛された人間だ。
私は、普通の一般庶民だ。
私の友達は、そのあまりの容姿端麗さを買われて大貴族の養女になった。
私は、おまけで侍女としてお屋敷に上がった。
私の友達は、そのあまりの頭脳明晰さに惚れられて王太子の許嫁になった。
私は、とばっちりで王宮の下女になった。
私の友達は、その天真爛漫さで様々な人間をとりこにしている。
私は、巻き込まれないように地味に暮らしている。
こうして考えると、私は友達に比べて淋しくつまらない人生なのだと思われるかもしれない。
しかし、実際そうは問屋が卸さないのが人生なのだ。
私の友達は、神様に愛されているけど片想い中。
私は、まだ恋の酸いも甘いも噛みわけていないおこちゃまだ。
私の友達は、養子縁組したせいで実家にめったに帰れなかった。
私は、ただの侍女だから十日に一度は帰宅して弟と喧嘩していた。
私の友達は、頭が良すぎて王様の王太子再教育願いを断れなかった。
私は、下女とはいえ王宮で働けることになった。
私の友達は、恋人候補はたくさんいるけど親友は私だけ。
私は、お姫様がお友達にいる。
どっちの人生が良いかなんて、誰にもわからない。
でも、そんな私とお姫様は今日も秘密の花園でティー・タイム。
このお茶の美味しさだけは、私たち二人一緒の幸せだと思っている。