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第8話 奴隷という名の道具

[奴隷]

リライプルでは亜人のみを奴隷として購入することができる、家事や労働、見せ物に慰め物、さらには薬物や兵器の実験などにも使われる。

 「ここだね、奴隷市場、競はまだ始まっていないみたいだね...」

 物陰から様子をみる、リドルは武器を持っていない、それは他の亜人達もである、あるのは身を守る鉄板で作った粗雑な盾のみ、解放が目的である以上、誰も殺してはいけないのである。


 そうしてしばらく時間が経つと人がだんだんと集まり、ガヤガヤとしだす、そして皆が息を呑む中で、一つの声が上がる。

 「さあ皆様! お待たせしました! 競の時間です!」

 男の喜びの感情の混じった声と共に正面のシアターが開き、裸にされた獣人、ジート人が顕になる。男や女、子供から大人まで、数は五十人ほどだろうか、身体の傷は少ないが、精神的に疲弊しているのか絶望の表情をしているが、化粧により顔色は良い。

 「...!」

 フィリアは怒りでその場に出そうになるがリドルが身体を掴み、抑える。

 「今は抑えて、最初の競が決まるその瞬間、動き出しますよ...」

 小さな声でフィリアに言い聞かせて、フィリアは興奮を抑えるために深呼吸をする、自身の同族が人として扱われずプライバシーも何もない、リドルも怒りを覚えはする、だが、だからこそ耐えなければならないのだ。

 8歳の獣人の少女、次々に金が提示される、銀貨45、53、57、少しずつ上がっていく、そして銀貨62枚で彼女は買われた、それは決して高価ではない、慎ましく暮らして2ヶ月程度、たったその値段で少女は辱めを受け、人としてのものを奪われ、自由を奪われた、そして少女が受け渡されるその時、リドル達は動く。


 「なんだ!? 亜人か!」

 人々は混乱する、皆が走り逃げる、そんな中で少女で手を掴むと主従媒体を蹴り飛ばし、リドルは上着を脱ぐと少女の肩にかける。

 「もう大丈夫、僕たちが助けに来たよ」

 少女は泣きながらリドルに抱きつく、辛かったのだろう、苦しかったのだろう、哀しいなんて言葉では表現のできない、そんな少女を慰めるが長くはいられない、リドルは少女の手を引き、仲間へと引き渡す。

 「この子を頼みます」

 「わかりました、ほら、もう大丈夫だよ」

 リドルは少女が行ったのを確認したその時、匂いを感じ、横へと避ける、その匂いは護衛のリドルと同じ犬型の男の獣人、もっといるのはシンプルな木製の棒、殺傷力はない、リドルは獣人に向けて発する。

 「お前も奴隷なんだろ...? 協力してくれませんか?」

 「協力すれば俺が死ぬだけだ」

 獣人は重く唸るような声で言うとすぐさま棒をリドルの脳天へ叩き落とす、リドルは盾を獣人の顔面に盾を近づけるとその瞬間に男の下を滑り抜け、両手で右足を掴み、転ばす。

 獣人がうつ伏せになると背に乗る、リドルが抑えているとフィリアが紐で手を縛ろうとするが男は必死に抵抗をする、しかし抵抗虚しく男は縛られる。

 「ありがとう、フィリア」


 次々と奴隷達を連れていくが、その時、1人の男の声と共に皆が固まる。

 「こいつがどうなってもいいのか!?」

 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」

 それは1人の奴隷商人であった、主従媒体を使い、少年に激痛を与えているのだろう、媒体は青紫に光り、少年は目を充血させながら地面をの垂れ廻る。

 「レト!!」

 先ほど助けた少女が少年の名を叫びながら走りだすがキールが抑える。

 「落ち着くんだ! 一旦....落ち着くんだ....!」

 少女は必死に少年を助けようとするがキールは止める、ここで動いては本当に殺される可能性がある、そして男は近づかれない以上は少年を殺せない、人質は生きていて意味がある、ここで殺せば、自身が殺されるか、破産し、自らを売るかの2択しかないからである。


 その時、キールの手を振り払い、少女が前に出る。

 「近づくなと言ってるだろうが!!」

 男が主従媒体を使おうとしたその時、リドルは前に出る。

 リドルは男を押し倒すと馬乗りになる、しかしここからどうすればいいのかわからない、下手なことをすれば少年はきっと死ぬだろう、そう思った時であった。

 少年の叫びが止まる。

 

 「この....やろう!!」

 リドルは怒りで男を殴ろうとしたその時、少女の声が上がる。

 「よかった...レト、大丈夫!?」

 

 リドルが後ろを見たその時、少年は先ほどまでの苦しみの顔はなく、息を切らしながらも生きていた。

 「なぜだ!? なぜだ!? この欠陥品!!」

 男は主従媒体への文句を独り言のように言い続ける、リドルは男を殴り気絶させると少年の主従媒体を破壊する、少女と少年は抱きながら泣き続けるが、その時、大扉が開き、軍兵8人が長銃を構えながら突入するのであった。

[蓮義手]

模倣の力により訓練をすることで新たな腕として扱える、力は強く銃なども扱うことができ、走ることなどもできる上、壊れなければ使い続けられる。

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