第1話 亜人という名のモンスター
[亜人]
サライセンダー発祥の人類、獣から派生した人類近い生物であり、純人とは全くの別の種族である
獣人・レイド・ジートの3種が存在する。
アルテクスでは魔法と化学の産業革命の時代がすでに始まっていた、モンスターは害獣にすぎない、人類は既にこの世界の覇者となっていた、人類には4つの種族、純人、エルフ、混血、そして未だ迫害され続ける亜人がいた。
第12期 1261年 帝都シードル
「やばい! もうすぐ主人が帰ってくる!!」
夕方の大通りの中で1人の少年が焦りだす、名はリドル、17歳の犬型獣人であり奴隷階級である。
リドルは急いで店へ入ると野菜をいくつか取るとレジへと持っていく。
「これお願いします!」
レジの店員もまた獣人であった、リドルの鉄首輪を見ると獣人は金を受け取るとリドルに聞く。
「売買証をお願いします」
「どうぞ」
売買証には主人の名前でレオ・アルフレッドの名と登録されたリドルの数字と名が書かれ、入れ墨として刻まれた数字との称号を確認すると商品を渡す。
「ありがとうございました」
そんな当たり前をこなすと、リドルは急いで家へと戻ろうと走っていると何かに足が引っかかりリドルは転ぶ。
「あ痛たたた...」
リドルは野菜が無事なのを確認する、クスクスとリドルを嘲笑う声が聞こえる中でゆっくりと立ち上がる。
「誰だよ転ばせたやつ」
「謝れって...!」
笑いながらリドルを心配するふりをする中でリドルは無視して行くと大衆をすぐに目線が離れる、当たり前の光景であると同時に虐げることすら一瞬に過ぎない、リドルを恨んでるわけでもない、特定の個人とも思っていない、亜人ということしか分かってはいなかった。
男は民家に入ると声を上げる。
「リドル!」
埃っぽくボロい木でできた家の中に男の声が響き渡るが反応はない、男はポリポリと頭を掻くとボソッと呟く。
「どこに行ったんだ...あいつ...」
男の名はレオ、鉱夫を営むミソッド人であり、この家の主人である、レオは星の精霊への祈りを行うとレオは窓も開け、沈む太陽を見ながら椅子に座っていると扉が開く。
「ただいま〜」
「おかえり、リドル」
「あ! 帰っていたんですね! 今食事の準備をします!」
リドルは慌てて食事の用意をするために台所へ小走りで向かう。
「転ぶなよ」
「大丈夫です!」
リドルは手早く料理を済ませるとレオの前に料理を置く。
「今日は自信作! 木材の煮込みです!!」
「野菜スープを変な呼び名にするな」
レオはスープを一口啜ると頬を緩ませる。
「うんうまい」
「でしょう!!」
リドルは自らを指差すと褒めろと言わんばかりにキラキラとした目でレオを見る。
「ありがとう、こんな料理が食べれて幸せだよ」
「いや〜褒めても何も出ませんよお!!」
リドルはまだ食べている最中のレオのさらにスープを注ぎ続ける。
「やっぱ訂正、そんな食えねえよ」
「そんな〜」
リドルも自分の皿へスープを注ぐと席につくとスプーンで一口啜ると微笑みながら言う
「うん、俺野菜嫌いです」
「なんで入れた」
2人とも対面しながら食事をするが会話は他愛もない、そんな日常会話をしているとレオがリドルの腕についた傷に気付く。
「どうしたんだ? それ...」
リドルは自らの腕を確認するとギョッとした顔をする。
「マジか! 気づかなかった...」
「おいおい、どこで怪我したんだよ...」
レオがやれやれと立ち上がると救急箱を持ってくる。
「いやあ...実はちょっと絡まれましてね」
「絡まれた?」
レオは消毒薬を傷に振りかけるとリドルは刃を食い縛りながら耐える。
「あいたたた...ほらあれですよ、ただの差別ですよ」
「亜人差別なんてやったところで何も変わらないのにな、同じ人間として恥ずかしいよ」
レオは悲しそうな表情をしながらリドルの傷に包帯を巻く。
「まあこんなもんだろ、気をつけろよ、何があるかわからないからな」
「ありがとうございます、それじゃあそろそろ風呂を炊きますね」
リドルは家を出ると薪を風呂の釜戸に入れ、魔力が篭もり、魔法が使えないものでも簡易的な魔法の使える石、魔力結石を放り込む。
「ファイア」
薪が燃え、黒い煙が上がる中で家の中からガシャンと何かが割れる音が鳴り響き、異変に気づいたリドルはすぐに家の中へと戻り、扉を開くとそこには頭から血を流すレオと怒りを見せる初老の夫婦がいた。
「何をして!?」
リドルは声を荒げながら男の肩に手をかけ、男はリドルを見ると
リドルを殴り飛ばす。
殴られた頬を摩りながら男を睨みつけると男はリドルの胸ぐらを掴む。
「やめろよ! 父さん!!」
レオは男の手を掴み、止めるように願うが男はレオに向かって怒りながら言う。
「なぜ亜人なんかと暮らしている! こいつらは野蛮で残忍でモンスターなんかと変わらんただの獣だ! 何度言ったらわかるんだ、レオ!!」
男はリドルをつき飛ばすと女は皿をリドルに投げつける。
「う...やめて...ください...」
リドルは必死に腕で防ぐが女は叫びながら物を投げる。
「あんたみたいな亜人はね! 生きてる価値ないんだよ! 死ね! 死ね!」
「やめ...やめて...」
リドルは泣きそうになりながらも必死に堪え続けるのみ、そんな中で反応はだんだんと薄くなり始めると男は部屋から出るとレオの部屋に入る。
「おい、なんだよ!」
レオは追いかけるように部屋に入ろうとするがレオは部屋に足を入れた途端、身体を硬直させながらゆっくり後ろへ後退りする。
「こんなやつ死んでいいんだ」
男は拳銃を持ってゆっくりと歩き、リドルへと向かう。
「父さん...冗談なんだろ...なあ!!」
レオは必死に声をかけるがリドルへゆっくりと銃を向けると引き金を引き、リドルは死を覚悟し目を瞑る。
「ファイア」
銃声が鳴り響き、痛みに必死に耐える、そのはずであった、リドルは自らに痛みを感じず、ゆっくりと目を開くと目の前に立ち塞がるようにレオがいた。
「レオさん!!」
レオはゆっくりと倒れるとリドルはレオを抱える。
「リドル...」
「レオ!!」
リドルは泣きながら必死にレオに話しかけると少しだけ、掠れた声で発する。
「逃げろ...お前は...自由になれ...これが...鍵だ...」
レオは鍵をリドルの手の中に入れるとそのまま目を閉じる。
「レオおおおお!!」
2人はレオの遺体を抱き抱え、レオに必死に声を掛けるがレオは動かない、そしてリドルはレオに言われた通り、走り出し、扉を開ける。
「貴様あああ!!」
男はリドルに銃を向けると詠唱する。
「ファイア!」
リドルはすぐさま扉を閉め、銃弾を防ぐと全速力で街を駆け抜け、人混みの中を走り続けた。
[シードル]
中央大陸リライプルの中央に位置する国であり、最も文明が進んでいる、製糸工場と蒸気機関車が入り混じる近代国家である。