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せっかくだからシリーズ

春眠暁を覚えず

作者: 南田 此仁

春眠(シュンミン)! 起きろ、出番だぜ!」


 窓から飛び込んだ白虎の幼獣が、床の主を無遠慮に叩き起こす。

 春眠(シュンミン)と呼ばれた少女は、布団を抱きしめたまま顔だけを向けて重そうに瞼を開いた。


「あ~……虎ちゃんおはよぉ~……」


「虎ちゃんじゃねぇ! 俺の名前は『(アカツキ)』だって何度言やぁ覚えんだ!!」


「うんうん、あと五刻だけ寝かせてねぇ……スヤァ……」


 話しながらも顔を背け、元通りの体勢で眠りにつこうとする。


「起きろー! おい、起ーきーろーっ!! 五刻なんて寝てたら月のほうが早起きしちまうぞ!?」


「ふふっ、虎ちゃんおもしろぉい……ムニャ……」


「寝んなーっ!! 東部の外れで詐欺師が幅を利かせてる。なんでも法外な値で『仙界への切符』を売りさばいてるそうだ」


「それって都尉(ケーサツ)のお仕事でしょぉ~?」


「その切符が本物だって言ったら?」


 その瞬間、少女のまとう空気が変わった。

 気だるさのなかで、鋭く近寄りがたい何かが目を覚ます。


「……は~ぁ、出番かぁ。まだ寝てたいのに……。帰ったら虎ちゃんのもふもふお腹を枕にさせてもらうからね」


 少女がのっそりと上体を起こす。

 その身体にはすでに外出着を身につけており、着替えの手間さえも省こうという横着さがうかがえる。


 眠気に揺らされるようにふらりと立ち上がった少女は、壁に掛かった武器を手に取った。

 少女の身長の二倍はあろうかという、三日月刃に棒が生えたような杖である。


(アカツキ)だっつってんだろ! ほら、行くぞ!」


「はいは~い」


 一人と一頭は、白みはじめた空を目指して窓から飛び出した。


挿絵(By みてみん)


ピクルー『ケモ魔女メーカー』で作りました。

加工OKとのことで、猫に模様描いて虎(?)にしてます。


暁、実は虎獣人という裏設定。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 仙界の切符で張り切る彼女は何者だろう? ( ´◔‸◔`) 続きが気になる!(*´ω`*) [一言] 絶対に名前覚えないタイプの子だ〜(*≧艸≦)
[良い点] 正しくタイトル通り [一言] 都尉《けーさつ》にこだわりを感じました。 ほのぼのしてそうで 殺伐としてるんでしょうね、この世界
[一言] 春はねむーい(´-ω-`) いやまた…これは! 暁をモフりたい衝動にかられて 続きないの?とか言われそうなやつやん… ( ̄▽ ̄)ニャリ
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