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49.積極的!?

「そう言ったものの、これからどこに行くつもりなんだ?」


俺は歩きながら、凛津に尋ねる。


かれこれ数十分歩いているような気もしたのだが……


「ん〜っとね……ここ!」


そう言って凛津は立ち止まり、目の前の場所を指差した。


そこは……


「ここでいいのか?」


初めにデートした時に来た、あの川だった。


「ここがいいの! それに……これはリベンジなの!」


「リベンジ?」


「そう! あの時は私、まだ素直に慣れてなかったし……それに、トマトしか作ってなかったし……」


「そのトマトもばあちゃん家のだけどな……」


「とっ、とにかくっ! リベンジするのっ!」


凛津はどうやらトマトの件は結構気にしていたらしく、無理やり話題を変えようとしていた。


「でも、リベンジって言ったって俺は何をすれば……って!」


バジャーっ


と、俺がそう言いかけた時に凛津が突然、川の方へと飛び込んだ。


「おっ、おいっ! なんで急に飛び込んでるんだよ!」


「ぷはぁーっ! はぁっ! そりゃあ、川に来たら泳ぐでしょ!」


「……だからって、水着も着てないのにそれはまずいだろ! てか、すっ、透けてるぞ!?」


「まぁ、でも今は優太しかいないし……」


「それってどういう……」


「だから……その、優太だったら……別にそういう目で見られてもいいかなって……」


そう言いながら、凛津は濡れた服の上から透けて見える体を手で覆い隠す様にしている。


「だっ、だからっ!……早く優太もこっち来て」


「なっ!?」


「はっ、早くっ! 私だって恥ずかしいから……」


「……わっ、分かった」


俺は一言そう言って


バシャーっ


凛津と同じように川へと、飛び込んだ。



「ねぇ、優太……早く」


「えっ……いや、そんな事言われてもな」


「私、もう我慢出来ないよ……」


凛津は頬を真っ赤にして俺を急かしてくる。


「もうちょっと開けてくれないと」


「わっ、分かった……」


そう言った凛津の顔は余計に恥じらっているようにみえた。


「……」


「ねぇ……まだ?」


「……なぁ、凛津」


「うん?」


「俺、凛津に弁当食べさせてあげてるだけ……だよな?」


「そうだけど?」


「決して他意はないんだよな?」


「えっ? なっ、なんのことっ!?」


そう言いながら凛津はひどく狼狽している。


この反応、絶対さっきの意識してやってたな……。


「なぁ、凛津……。今日のお前、少しおかしいぞ? さっきだって突然服着たまま飛び込んで俺を誘惑してくるし、さっきだって弁当食べてただけなのに……」


「なっ、なんのことーっ!? べっ、別にいつも通りじゃない!?」


「さては……有里ねぇの入れ知恵だろ……」


「なっ、なんでそれが!? って……はっ!」


「……やっぱりな」


というのも、少し前、俺が川へ飛び込んでからのこと。



バシャーっ


「ぷは〜っ! 冷たっ!」


「ゆっ、優太……早くこっちに!」


そう言いながら凛津が泳いでこちらに向かってくる。


凛津は水着など着ていないので当然……


「凛津……その、さっきから透けてる……」


「ん? あぁ、さっきも言ったけど、私優太が相手だったら何とも……」


そう言って凛津が自分の胸の方を確認するや否や、顔を真っ赤にして口をパクパクさせ始めた。


それもそのはず……凛津は今、有里ねぇの体と入れ替わっているわけで、つまり


「えっ? 見えて……る?」


「……」


俺はすぐさま目を背けた。


凛津の着ていたワンピースはびしょびしょゆ濡れていて……その隙間から何かがはみ出ていた。


「ゆっ、優太!! こっ、こっち見たらだめっ!」


「はっ、はいっ!」


凛津はすぐさま、川からあがって俺も続くように上がったのだが……


「さっ、寒いっ!」


「そりゃあ、いくら夏とはいえずぶ濡れになってるしな……」


「うぅっ!」


「とりあえずは、服を乾かすためにもここにいよう。俺はなんか上着でも持ってくるよ」


そう言って走り出そうとした俺の腕を、凛津がギュッと握った。


「ダメ……」


「え? ダメって……上着持ってこないと、風邪ひくぞ?」


「……でも」


「うん?」


「せっかくのデートなのに……時間、勿体無いし」


そう言って、凛津俺の腕を握りながら俯いた。


「凛津……。ありがとう」


すると凛津は不思議そうな顔で顔をあげ


「ありがとうってなんで?」


そう言った。


俺は少し恥ずかしいと思いながらも


「その……凛津が、このデートをそんなに大切にしてくれてたんだなって思ったらさ、なんか嬉しくて……」


「そっ、それは……だって、好きな人とデート出来るんだもん……。大切にするのは当たり前」


凛津は顔を真っ赤にしてそう言った。


「……なっ、なんか暑いな〜!」


「そっ、そうだね……なんか、さっきの寒さも吹っ飛んじゃった!」


「いや……流石にそんなんじゃ」


「じゃあ……確かめてみる?」


「確かめるって?」


「その……ハグして……」


「なっ、なんでそうなるんだよ!? ていうか、ここ外じゃん!」


「ダメ……なの?」


「ダメじゃないけど……そっ、その、前に! はっ、そっ、そうだ! 俺、お腹すいたんだ!」


俺は半ば強引にこの場で、ハグするのを防いだ。


というのも……


じーっ


木の影から、有里ねぇが双眼鏡を持って俺たちを見ていたから。


今、それを凛津に言ったら多分、さっきまでの事を思い出してパニックになりかねないと判断してこれは凛津には言わないことにした。


すると、凛津は意外にもあっさりと


「確かに……少しお腹も空いてたし、リベンジにはちょうどいいかも」


そう言ってから一つの弁当箱を取り出した。


「おっ、もしかして……リベンジって」


「そう! お弁当のリベンジ!」


そう言って凛津は胸を張っているが……


「凛津……胸」


「ん? ……ゆっ、優太! どこ見てるの!」


「いや……別に、見ようととしたんじゃ無くて……」


「言い訳はなしっ! はやく弁当食べるの!」


そうして二人で、弁当を食べようとしたところで


「優太……私に食べさせて」


凛津がそう言ってから、今に至るというわけだ。





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