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伝説のゲーマー月兎~暗黒UFOキャッチャー編~

作者: ヒロモト

「……まずは一つだな」


(なんて奴だい!たった一万で一つゲットしやがった!)


『ゲームセンター強欲』の女店長ケチ子は『激渋違法設定』のUFOキャッチャーでカプセルをゲットする白髪の青年『月兎(ゲット)』のテクニックに驚愕していた。


「へへん!流石ゲットはんや!その調子やで!」


(ガキぃ!)


以前このキャッチャーで二万円溶かした少年が月兎を連れてきた時は「新しいカモが来た」ぐらいにしか思っていなかったがどうやらこのゲットとかいう男は『本物』のようだ。


(……だけど)


「ハズレ……か」


(懐が持つかしら?)


カプセルの中にはクジが入っており、一等デズニーランドペアチケット、2等ピーエシ4。3等ルンボはクジから抜いてある。つまり『残り三つになるまでカプセルをゲットしない』とケチ子のイカサマは証明できない。


(いくら凄腕といってもガキはガキ。カプセルを全部取るには100万はかかるわよ?)



「……両替頼む」


「どないしたんや!おばはん!はよせいや!」


「えっ……えぇ」


(なんなのこいつ!!)


閉店まで残り10分。本当にゲットは100万円近く使って残りカプセル4つの所まで来ていた。

そしてまた一つ『ゲット』された。


「まーたハズレや!おばはん!どないなっとるんや!おかしいやろ!」 


「……確かにな。残り三つに全ての当たりが入ってるってのは考えがたい。店長。中身を改めてさせてもらうよ?断れば警察に連絡する」


(……終わった)


『逮捕』。残り三つのカプセルを取り出しながらその言葉がケチ子の頭を何度もめぐる。30年間守り続けていたケチ子のゲーセンが終わる。


(私。いつからこうなったのかしら?昔はただ子供たちの笑顔が見たかっただけなのに……)


「……俺もヤキがまわったな。残り三つが全部当たりだ」


「……えっ?」


「そんな!そんなことってあるかいな!」


「……こういう事もある。ちょうど閉店か。帰ろう」


ゲットはクジをグシャグシャに丸めてゴミ箱に捨てた。



「同情したつもり!?」


ケチ子は店の裏口でタバコを吸うゲットに詰め寄った。


「……20年前の大会の写真。スコアアタックのランキング表。本棚に刺さるヨレヨレの攻略本。このゲーセンが客に愛されていたことが俺には分かった。だからさ」


「……昔の話よ。それに100万も使ってどうするの?私。名前通りケチだから返さないわよ」


「……いいさ。くれてやる」


「なにもんなのよ!?あんた!?」


「……ただのゲーセン好きのクソガキさ。近年ゲーセンは潰れまくってるよな?でもこんな時だからこそ誠意が必要なんだぜ?その金でもう一度客と真剣に向かい合う方法を考えな」


「バカじゃ……ないの?」


トゥンク。


「どうやらまた景品以外もゲットしちまったみたいだな」


ゲットはタバコを地面に捨てそれを踏んで夜の町に消えた。


2015年の話である。




『感染症対策の為。マスクをしてご来店下さい』


「……」


「どしたんすか?ゲットさん。また古くさいゲーセンだなぁ。よくこの時代に潰れないでいるなぁ。ゲットさん。なんか思い出でもあるんすか?」


「……ねぇよ」


「今夜もたのんますよー。億かかってんすから!まぁゲットさんなら負けるわけないっすけど!」


「……ああ」


ゲットは億の金を賭けた『闇格ゲー』の賭場へと向かう。


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