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強く生きていく

作者: 北岡菜音

恋をした。甘くて切ない恋を……。


14才の私は恋をしていた。五年間ずっと片思いの彼に。きっかけは単純だった。泣いていた私を慰めてくれた。ただそれだけ。それから彼のことが気になり始めた。彼には好きな人がいた。彼女のことを思って泣いてしまうぐらい好きな人。誰かは知らなかった。でも私じゃないことはわかった。聞こうと思ったけど怖くて聞けなかった。そんなことの繰り返し。中学に 入学して、諦めようと思ったけど諦められなかった。そして一年が経って私の祖父が他界した。父は祖父の面倒なんて見ないで母に全部任せて自分は遊び放題。母は疲れたきって痩せこけてしまった。私は知らなかったけど理由はそれだけではなかった。父は浮気をしていた。自分の父親が死にそうなのに女と遊んでお酒飲んでパチンコ行って、毎日それの繰り返し。信じていた父親に裏切られた。そんな気持ちになった。友達とも喧嘩になって死ねと言われて、もう死にたい。そんな気分だった。そんなことがあって私は誰も信じられなくなった。家族も友達もみんな信じられなくなった。周り皆が私の敵だった。信じ

ても最後には裏切られる。その言葉が私の頭の中に過ぎっていた。でも一人だけ信じられる友達がいた。彼女も何か悩みを抱えているようだった。何でも相談してって言ったけど彼女は何も言わなかった。それから少しして彼女は学校に来なくなった。たった一人、信じていた人が来なくなった。それだけで気持ちはだんだん重くなって私も学校に行かなくなった。親は行かない理由を聞いてきたけど私は何も言わなかった。中学二年の二学期からはずっと保健室でいた。勉強をする訳でもなく、ただベットで毎日寝て給食は友達が運んで来てくれる。それの繰り返し。家に帰ると父はどうして教室に行かないのかと私にどなって殴るわ蹴るわで毎日辛かった。そんな私を母はいつも支えてくれた。ある日、玄関で彼に会った。すごく久しぶりに会ったから緊張して何を言えばいいか分からなくて、彼も黙ったままただ私を見つめてるだけ。泣きそうになった。でも必死にこらえて笑って挨拶をした。彼も笑って挨拶をしてくれた。おはよう。その言葉だけで十分笑顔になれた。そして中学三年生に

なった。私は頑張って教室に行ってみた。そしたら皆が笑顔で私を迎えてくれた。うれしかった。そして新しい友達ができた。ぶっきらぼうで自分の気持ちに素直になれて言いたい事ははっきり言える子。そんな彼女をわたしは尊敬していた。でもどうしても信じられなくて試すような事をしてしまう。いつもそうだった。クラスの人気者も幼なじみも試すようなことばかりしていた。そんなことをしていた自分が大っ嫌いだった。一部の子は信じられるようになった。彼のことも。彼は私を元気づけるかのように毎日私を笑わせようとしていた。ありがとう。一回じゃ足りない。何回言っても言い足りないくらいのありがとうを彼に捧げたい。学校から帰ると父と母はいつも喧嘩している。それを見るのが大っ嫌いだった。母はいつも私に相談してくる。父とどうすればいいのか。でも私にはわからない。自分の悩みで手一杯。人のことなんか考えてる余裕なかった。私にどうしろって言うのよ!毎日心の中で叫んでた。私の支えは飼っている猫と友達、彼だけだった。どんなに苦しくてもどんな

に悲しくても教室に入ると皆の笑顔があって、その笑顔に何度も救われた。私の悩みはまだ解決してないけど、昔思ってた、神様。私を殺して。もう死にたい。なんて考えは今の私にはない。だからこれからなにが起こるか分からないけど強く生きていく。いつか彼にこの気持ちを伝えるために。


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― 新着の感想 ―
[一言] 日記のような雰囲気で、装飾のない、貴女の心の内が素直に表現されていたと思います。「死にたい」というフレーズが痛々しいですね・・・でも、最後には希望の持てる結末になり一安心です(笑)
[一言] ぼ〜いずで感想を頂いた月と夜と空です。小説を読ませて頂きました!すごく主人公の気持ちが直球に書かれていますね。悩みや怒り、好きになった彼への想い。たたみかけるように書かれていて、エネルギーを…
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