王女襲来
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「どうやってここまで来たんだ?」
「私ですか? シキ様に会いたいとゼロに言ったら、後はすんなり通してくれましたよ?」
おい。
突っ込みどころ満載なその言葉に俺はオートマタを纏めているソフィアへ通信を飛ばした。こんなことを実行する権限なんてあいつにしか与えていない。
(おい、どういうつもりだ。)
『バレてしまいましたか......悪気はないんですが、最近退屈しているマスターに刺激があればと、ゼロからの相談を受けて未来の奥方をお通しした次第です。』
お、そうなのか。てか、奥方って......間違いではないか......国王公認だし?
(ありがとう?)
まさか気遣ってくれている配下を非難するわけにもいかず、何となく感謝の言葉を送る。
って......まさか。
(俺の探知機能を阻害したのもお前か?)
『......。』
だんまりか。まあ実害はないからいい......が......
「シキ様? なんで私以外のことを考えているんですか?」
ヤンデレを送ってくるんじゃねぇ!!
そんな俺の心からの突っ込みを無視して飛びついてくるクレア。
そのまま落とす訳にもいかないので受け止めると、そのたおやかな両手で俺の首を絞め始めた。
「む~何で平気なんですか。これではお仕置きになりません。」
首を絞められても平然としている俺に文句を言うクレア。
どうやらクレア以外のことを考えた罰のつもりだったようだ。
理不尽だが頬っぺたが膨らんでいてちょっとかわいい。
「そういえばシキ様はここに住んでいるのですか?」
俺の首を絞めるのを諦めたクレアが聞いてくる。
「ん? そうだが?」
「じゃあ私もここに住みます!」
「いや、アレンが心配するだろ。と言うことで却下だ。」
「お父様なんて知りません。」
これ聞いたらアレン泣くな。
「だが、」
「シキ様は私のことが嫌いなんですか?」
やめろ、そんな目で俺を見るんじゃない。
この王女、ヤンデレだが美人なので、潤んだ目で上目遣いされるとなかなかの破壊力があるのだ。
俺がぐらつきそうな心を立て直すために口を閉じていると、肯定と受け取ったのか、
「そうですか......なら!!」
一気に暗くなったクレアは素早く懐から短刀を出して自分の胸へーー
おい、ちょっと待て。何がどうなってつかその短刀どこに持っていた。
さらに突っ込みながらも俺は手を滑り込ませて短刀を止める。
すると、手の力が抜けてポトリと短刀を落としたクレアは満面の笑みを浮かべて、
「シキ様が私を助けてくれました......やっぱり私たちは相思相愛だったんですね!」
電波を受信したのか、はたまたあの一連の行動をマリアナ海溝よりも深く深読みしたのか知らんが、感激の余りに体を震わせ始めた。
......もうやだ、理解できない。
それでもクレアに深く想われているという事実にちょっぴり喜んでいる童貞、詩輝であった。




