王の城と書いて王城といふ
一夜城ならぬ一分城を創り上げ、永久機関を片手間に作った詩輝は一心地ついたとばかりに桃花とギルドへ顔を出しにいった。
ギィッと相変わらず立て付けの悪い扉を開くと一挙に集中する視線。
皆の顔には恐れと好奇の色があり、情報通の者は『人形王』と国王直々に称号をもらった「あの」シキだと仲間と話始める。
そんな『怪物』と『撲殺天使』改め『人形王』と『人形姫』に歩み寄る一つの冒険者パーティー『戦乙女』。
「......久しぶり。シキ。」
「おう、久しぶりだなリース。レイラの調子はどうだ?」
「......最高。日収も2万ルーアを越した。」
2万か......かなり稼いでいる方だな。
「......ところで、」
なにやら神妙な顔でリースが問い掛けてくる。
「なんだ?」
「......あの水晶の浮いている城、シキの?」
なんだそんなことか。
「そうだが? やっぱ人形王だし城があった方が良いだろ?」
「......やっぱり優良物件......」
相変わらずぶれないのな。
その言葉に成り行きを見守っていた冒険者達がざわめき出す。
フフフ......計算道理の反応だな。
「ま、それはそれで置いておいて、この依頼を受けるか。」
野郎共へのドッキリは済んだので俺は適当な割りの良い依頼を受けてギルドを出る。
しかし民衆はそれだけで黙るわけがなかった。




