メビウス・マギリアクター
「さて、と......どうすっかな~」
先の襲撃イベント関係を済ませた俺は、小鳥亭に戻り、今回の反省点である魔素の枯渇に対する対策を考え始めた。
要は魔素を貯めるタンクさえあればいいのだ。若しくは魔素を発生させる内燃機関やその類。できる限りローコストであればなお良し。
しかし俺の知っている魔素の性質ではすぐ周囲の情報と結びついて散ってしまう。
そうなると残りは魔素を発生させるぐらいしか......
そこで行き詰ってしまった俺は空を仰ぐ。
そこにはこの惑星に魔素と光を供給する太陽があった。
ソーラーパネルの魔素版を作るか?
と思っては見るが、一応素粒子である魔素をただの光エネルギーから作り出すには無理......が......
ちょっと待て。
確か素粒子ってエネルギーから作れなかったか?
というか電子は動けば電気エネルギーだが素粒子だし。
もっと言えば現象を起こす上で消費する魔素の量は情報量に比例したよな?
あれ? もしかして意外と簡単な話か?
原子そのものであるnMSレベルまでの縮小は無理でも、一定の空間内でひたすら魔素をきっかけとした核分裂と核融合を繰り返し、そっから熱エネルギーを取り出して魔素に変換すればよかったりするのか?
これは某決戦兵器のS〇機関も夢じゃない?
そう考えた俺は早速拠点の工房と接続、プロトタイプの魔素発生器を作った。
大きさ、形は共に単三電池を参考にしている。中では一秒間に1000回ぐらいのスピードに魔導式で促されて核融合と分裂のサイクルが起き、熱を100%魔素に変換。取り出す前に核融合、分裂の促進と魔素への変換用魔導式を動かす分の魔素を徴収、次のサイクルへ回すという第二種永久機関も裸で逃げ出すレベルの代物になった。
知ってると思うが、原子核の崩壊と融合は膨大なエネルギーを放出する。しかし魔素が実行する情報は原子核をぶった切ってまたくっつけるという非常にシンプルなもの。そうなると発生する熱エネルギーと情報の実行で消耗する魔素量の間に大きなギャップが産まれ、その余剰分を魔素に変換して利用するのがこの永久機関だ。
名付けて『メビウス・マギリアクター』だ。
取り敢えず城型拠点の浮遊維持のために200基位埋め込んで。
あとはオートマタ達の標準装備にして、俺の骨格にも10基程埋め込んでおこう。
......というか俺割とフランクに全身で核分裂と融合繰り返していたのな。
詩輝......恐ろしい子ッ!
......ちょっと違ったか。
「気持ち悪い顔してどうしたの? お父さん。」
ア、ハイ。
「ななななんでもないぞ。」
「ふーん。」
「ほ、ほらップレゼントだ!!」
「凄いし、有り難く貰うけど......やっぱりろくなこと考えないね。」
......この後むちゃくちゃふて寝した。




