人形王と人形姫
襲撃イベントから数日がたった。
ある朝、アレンが王城から使いを寄越して来たので俺も少し支度を整えて桃花と共に向かった。
通信で直接伝えればいいのに......もしかして王としての体裁があるのか?
そんなことを考えながら門を通過。堂々とした足取りで謁見の間へ向かう。
所々で立ち話をしている偉そうな貴族たちは胡散臭そうな目や驚愕の目で見てきたがスルー。
メイドが来て待合室に案内してきたのでそこで桃花と暫しの時間を潰していると、
「シキ様、トーカ様、陛下が御呼びです。」
とまたもやメイドが来たので大人しくついていき、無駄に大きな扉を開けて謁見の間に入る。
そこには十数人の貴族が既に居り、真ん中の玉座に座ってこっちを見るアレン。
「おうシキか。よく来てくれた。」
国王であるアレンがただの冒険者へフレンドリーに話しかけているのを見てざわめく貴族たち。
一部は情報が来ているのか驚かずに俺を観察している。
「こっちは時間割いて来ているんだ。手短に。」
あえて爆弾を落としていく詩輝。
下手をしなくても不敬なその言動に沸き立つ貴族たち。
「陛下! この者に厳罰を!!」
無作法な俺に処罰を下すべく進言をする一人の貴族。
周りもそれを後押しする。
が、
「シキを罰するだと?......貴様らはこの国を滅ぼしたいのか!!」
「......?」
あまりにも予想外なアレンの一喝に困惑する。
そこに追い打ちをかけるようにアレンは言う。
「今ここにいるシキはまだランクこそ低いが、単体でかのSランク冒険者、グレンを軽くあしらう程の強さを持っている。さらには知っていると思うがラゼーア元公爵が聖ルミアーナ国と手を組んでこの城を襲撃した時、配下を率いて騎士団を壊滅させた襲撃者たちを瞬時に屠っているのだぞ? 一国を軽く超える戦力を持つシキに害を与えてこの国もただではすまないとなぜわからない?」
「......。」
信じられないようなアレンの言葉に唖然とする貴族たち。
それを見て満足したようにアレンはこっちに向きなおす。
「シキ、今回呼んだ理由はそれについてだ。こちらは国としても個人としてもぜひとも友好関係を築きたいと思っている。そこで、だ......今回、王国の象徴ともいえる王城お呼び私の家族を守ってくれたことに対して敬意を払い、貴殿に......」
一拍おいて、
「『人形王』の称号を贈るっ!!」
当然あちらこちらで驚きの声が上がる。
「また、貴殿の娘、トーカには『人形姫』の称号を贈る。さらには王都の北にある土地の一部を譲渡するものとする。そこでは我が国の法律は適用しないので自由にせよ。」
王直々に一人の冒険者へ土地の譲渡をする。それだけでも前代未聞の話なのに、称号を贈り、さらには譲渡した土地に治外法権を与えるという暴挙に先程まで落ち着いていた貴族たちもざわめきだす。
一方、シキの反応は。
「ありがたく受け取らせてもらう。お返しにこちらからは騎士を贈ろう。」
そう言って手を叩くと、
空間に溶け出るように姿を現した、甲冑をまとった十数名の騎士たちがアレンに向かって一斉に膝をつき、臣下のポーズをとる。今日の朝準備をしておいたのはこれだ。勿論全員オートマタで、ベースをパーサーカーシリーズにして少し体躯を細くしてある。言うまでもなく鎧はアダマンタイト装甲だ。
貴族たちは余りの急展開について行けず、本日五回目のどよめき。
何人か文句を言いたそうにしている貴族がいたのを見逃さなかったアレンはくぎを刺す。
「文句は俺ではなくアレンにぶつけろ。どんな手段を使おうが許可するが、損害があったとしても何もしないし、周りに迷惑をかける行為は禁止する。......ま、どうやっても無理だろうがな。」
アレンの笑みの理由も知らず、何やら決意する若い貴族数名。
ま、せいぜい楽しませてもらいますか。




