領地は城二個分で
アレンがこっちを凝視してきたので、
「どうした?」
「いや、その、な。」
「?」
いまいち要領を得ない返答に、周りに聞かれたくない話なのかと思っていると、
(......こうか?)
アレンから通信がきた。
(どうした?)
(いや、お前さっき元人間っていったよな?)
(いったけど? それが何か?)
(今のシキはクレアと、その......)
成る程。
(シャイなおっさんはキモいだけだぞ?)
(うるせぇ。)
(要は子供が出来るかって問題だろ?)
(ああ。)
(安心しろ。そこは問題ない。というかさっき言っただろ? 俺は何にでもなれるんだ。今の体のベースは人間だったときの俺自身。ちょっと筋肉や骨を変えてあるだけで中身は変わらんさ。)
(そうか。)
明らかにほっとしたような顔をするアレン。
「そういや功績の件ってこれで問題なくなったんじゃないか?」
話題を移すとアレンは少し難しそうな顔をして言った。
「......確かにこれでお前をクレアと結婚させる大義名分はできた。しかし......。」
「何が問題だ?」
「貴族ってのは厄介でな、もう少し欲しいところ......そうか。」
「何だ?」
「お前を正式な俺の友人として公表する。それでお前に王都付近の領地を少し渡やるから好きにしろ。税などの干渉はしない。」
「周囲の反発がえぐそうだな。」
「援軍やゼロを即席で作れたのを見る限り、どうせお前の配下はもっといるんだろ? 周りを圧倒するぐらいして見せろ。奴等は手に負えないものに手を出さない。」
丸投げかい。
「まあできなくもないが......あ。」
いいこと思い付いた。
「なあ、その領地のことについてなんだが、王都周辺でお前の城二個分ぐらいでいいぞ。」
「何をやらかす気だ?」
「それはできてからのお楽しみ。きっと楽しいことになるぞ。」
俺が笑みを浮かべると、アレンが少し頬をひきつらせながら、
「......楽しみにしておこう。あと国王の俺から直々に称号をやる。少しは威厳が出るぞ?」
「......変な名前だったら張っ倒すからな。」
「それは怖い。『人形王』何てどうだ?」
人形を統べる王か、悪くない。
いい称号を貰ったしちょっとしたお返しをするか。
「その称号、気に入った。ということでお返しだ。下に映った城を見てみろ。」
全員が一斉に下を向くなか、俺は城に派遣していたクリーチャーシリーズに命令を出した。
初期にスキャンしておいた王城の構造データ通りにnMSが再構築していく。
青白く発光しながら修復されていく王城。
「お前は何処までも異常だな......だが感謝する。」
「ところで俺が城を直さなかったらどうする気だったんだ?」
「かな~り面倒くさいことになっていただろうな。」
ま、そうだろうな。




