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危険? 何それ美味しいの?

 

 ピチュン

 エヴァの助言どうりに荷電粒子砲で景気よく頭を吹き飛ばした詩輝。

 首なしの素体が崩れ落ちる。

 一瞬の空白の後戻る意識。


 一瞬の間に再生した頭を頭蓋までnMSで侵食していく。


 しかしこのままだと処理速度が落ちるので、意識を司る部分以外と脳脊髄液を全てnMSに変換、神経と接続してから取っておいた記憶と経験のバックアップをダウンロードする。


 「......ん?」

 ゆっくりと目を開くといつもと違う不思議な感覚。

 いつもより世界が鮮やかというか......そんな感じ。



 確かにさっきまでの俺は感情が薄かったのかもしれない。


 ま、いいか。


 気を取り直して俺は拠点の工房に接続した。


 ......ホームがあることが幾ら良いことだとしてもここまで留守にしているとな......すっかりオートマタ達の待機場所になってるぞ......。


 そう思いながら俺は前々から構想を練っていたとある兵器を製作し始めた。

 移動方式は重力操作。 

 武装はレーザーとアダマンタイト製の巨大な槍。

 形状は武骨な円柱。

 中心にnMSAIを搭載。

 活動領域は......宇宙。



 ......そう衛星兵器だ。


 地球で少し前に頓挫した兵器開発プロジェクトの一つにはこんなものがあったそうだ。

 その名も『神の杖』。

 劣化ウラン、若しくはタングステン製の巨大な槍を衛星軌道上から発射する兵器だ。

発射された100㎏あまりの槍は重力で加速していき、着弾時には秒速3㎞。つまりマッハ約9.5の速度になり、衝撃波で周りを吹き飛ばしながら地下100mに隠された施設をも破壊する。


 しかし槍の重量を衛星軌道上まで持ち上げるためのエネルギーなどの問題から中止になったらしい。


 そして、今回作るものはこれをさらに凶悪にした代物。

 名付けて、『執行官』シリーズ。


 衛星軌道上からあらゆる方向に劣化ウランよりも重く、硬い槍をレールガンを用いて音速まで加速し発射、目標を完全破壊する。例え当たらなくても近くに落ちれば人間程度衝撃波で消し飛ぶ計算だ。


 え? 発想が宇宙人だって? 

 ロマンの実現のためだ。別に使う気はない。


 なに、もし俺を心底怒らせた奴がいたらたまたま俺の手が滑ってそいつの人生が終わるだけ......だ。


 ......ちょっと自信がないかも。パスワードをつけておくか。





 ちなみに200機衛生軌道上で建造したら惑星全体に最速一秒でストライクできるようになった。

 危険? 何それ美味しいの?



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