王女専属人形
「何をやって功績を打ち立てるか......。」
いざやれと言われてもいまいち思いつかない。
「シキ様」 ツンツン
「う~ん(思案中)」
「シキ様」 ツンツン
「あ~(思案中)」
「シキ様っ!!」
「ん?」
おっといけない。考えに耽りすぎた。
「この人形、もらってもいいですか?」
そう言いながら俺の分身を抱き締め、頬擦りするクレア。
......一応それ、血が通っているれっきとした生き物だからな?
まあ自分から切り離した肉塊に興味はないので別にいいが、
......やっぱ少し機能をつけたくなるよな。それにずっと生は流石に不味いし。
ここで詩輝の工作欲が顔をあげる。
「ちょっと待て、一回返してくれ。後で渡すから。」
そういって分身を受け取った俺は通信をソフィアと接続、そこから拠点の工房に繋げて設計を開始した。
****
「よし」
完成した設計を分身に反映させてその肉体構造を再構成、起動した。
「お前の名前はS-01だ。使命はそこのクレア王女の身の回りの世話と護衛。」
「機体No.1703S-01分かりましたマスター。」
名前は使用人の英語訳、サーバントの頭文字からとった。
主な機能は運動能力と擬態機能に割り振ってある。
骨格や筋肉の分量は桃花に近くし、クレアが人形で遊ぶことを考慮して重さを軽減するために少し薄くした。
その代わり表皮は分厚いnMSで構成された人間の皮膚だ。普通の人間の5倍の厚さにすることで様々な外見を再現でき、その下の強靭な素体を完全に隠す。
クレアの世話をするので礼儀作法を覚える必要があり、戦闘能力を上げるためにもnMSAIの処理能力は常人より遥かに高い。
......ん? 擬態能力は要らないだろって?
こいつ一応外見は男だからな。女性の世話をするのだから場合によっては性別が変わった方がいい時もあるだろ。
ちなみに服は執事服っぽい何かだ。本物を知らないからな。あとで学習させる予定。
女性バージョンはメイド服、常識だよな。
「待たせたなクレア。これがさっきのだ。少々手を加えてある。」
「......か」
「ん?」
「何......か」
「ん?」
「何てことをしてくれたんですか!!」
......はい?
オートマタの名前を変更しました




