助けてくれ。
「はぁっはあっ」
必要ないのにも関わらず荒く呼吸をする詩輝。
......つ、疲れた......
この王女改めクレアとの壮絶な戦いは疲労とは無縁となったはずの詩輝を精神的に酷く疲労させた。
......別にピンクな夜戦はしていないのでそこらへん宜しく。
あの後さらに興奮したクレアが突然服を脱ぎだすなどあの手この手で俺を誘惑しに来て、その都度俺が止めるといった具合にイタチごっこをしていたのだが、頭のネジが二、三本抜けているとはいっても人間であるクレアの方が先にダウンした。
最初は平和的な語り合いをしようと思っていたんだが......おかげで俺の自身が暴走するのを止めるために股間への神経をカットしてしまった。
何気なく横を見ると戦いに疲れて幸せそうに寝ているクレア。時々顔がこっちを向いて笑っているように見えるのは気のせいに違いない。
もう一度言うが夜戦はしていないからな?
しかしこのままというのもまずいのでアレンと相談をすべく、
「よっこらs
ガシィッ
クレアに腰を掴まれた。同時に寝言で「ふふ、離しませんよ。シキ様♡」とか聞こえるのだから恐ろしい。
このまま振りほどいて行ってしまうのも手だが、この王女なら起きて俺がいないことを知った瞬間アレンの執務室に突撃してくる姿が目に浮かぶ。しかし俺は一刻も早くこの場を離れたい。ならばとるべき道は一つ。
俺の体を置いて行こう。ただし俺の雄々しい? エクスカリバーは除いて。
そうと決まれば話は早い。即座に俺は中枢部分のnMS以外を切り離し、王城の外の地面から自分の体分の素材を適当に調達。おとりの方のエクスカリバーを切り取ってつるつるの股間にし、常に寝ている状態を保つよう設定する。そのあとアレンの執務室の中で体を再構築して声をかける。
「おいアレン。」
「どうした? クレアとは話し終わったのか?」
「いや、その件について一つ教えてやる。」
「?」
「お前の娘に襲われた。助けてくれ。」
「......は?」
バンッ
「シキ様!! これをくれませんか?」
執務室に飛び込んで俺を見るなりそう聞いてくるクレア。起きるの早すぎないか!?
というか......
なぜ俺じゃないと分かった!!??
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