クレア王女
(今日はいつもに増して騒がしい一日でしたね......。)
病気が完治し、元気になったクレアはベッドに入って天蓋を眺めながら今日の出来事を反芻する。
シキ。それは不思議な殿方だった。
王族相手にも下手に出ず堂々と、嵐のようにやってきて、嵐のように去っていった。
お父様によると冗談のような強さを持っているらしい。
巨大な大剣を背負い、奇跡のような不思議な魔法も数多く使っていた。
姿を消し、人の姿かたちを思うがままに変え、不治の病を片手間に治す。その業はまるでおとぎ話に出てくる神様のようだった。
(でもまさか胸の大きさまで変えられるなんて......。)
視線を下に移し、激しく自己主張をしている己の双丘を眺める。
外見を変えると詩輝が申し出たたとき、少し欲を出してクレアは胸を大きくすることを願った。
母のエレナは巨大な胸部装甲を持っているのに対し、娘であるクレアはいつまでたっても育たず、なだらかなままだったのでコンプレックスを抱いていたのだ。
でもその悩みは命を蝕む苦痛と一緒に綺麗さっぱりなくなった。
病気が治ったと実感した時は心地よい安らぎに包まれ、嬉しさのあまり涙した。
病人食ではない久しぶりの料理に感動した。
気だるさや痛みがどこにもなく、自由に歩けることの喜びに震えた。
迫り来る死への恐怖から救われ、また未来を見れた。
「ああ♡シキ様......。」
......そして自分を死から救ってくれた詩輝の存在が深く、心に刻み付けられた。
詩輝への思慕の感情は極限までつのり、昇華し、そばに在りたいと言う願望は歪みを与え、独占的で暗く、深い愛情へと姿を変える。
「未来永劫お慕いしています。シキ様♡」
歪んだ愛は止まることを知らないかのように膨れ上がっていく。
脳は正常な思考を飲み込まれ、詩輝を対象とした様々な動物的衝動が神経を駆け巡り、その虚ろな蒼眼の奥は漆黒の闇に染まる。
「いずれ私が迎えにいきます。そのときまで......」
待っていてください。
ヤンデレ登場!!
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