治療(3)
総合評価が300を越えました!!
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これからも読んでくれると嬉しいです。
「よっ」
なんの前触れもなくまるで空間から滲み出てくるようにして現れたそいつはそう言った。
とっさに身構えるが、その顔から一人の人物を思いだし構えを解く。
「......シキ......か?」
「ご名答。てことで早速治療したいのだがそこにいるのが病人ということで間違いないか?」
相変わらず飄々とした笑顔でいるシキ......ちょっと待て。こいつ、どっから入ってきた??
「治療の前に......お前、どこから入ってきた?」
そう問いかけると、
「城門で騎士に群がられたから適当にあしらってから姿と実体を消してここまで直行してきた。」
想像してはいたが......姿を消すは兎も角、実体を消す!? 聞いたことがないぞ。
どれだけ力を隠しているのだこいつは......。
そこにバンッと音をたてて飛び込んでくる騎士。
「陛下っ! 侵入者が城内に......!!??」
探していた侵入者が目の前で国王と顔を会わせていることに驚きを隠せない騎士。
「その事だが、問題ないと伝えろ。」
「しかしっ」
「命令だ。ついでにエレナとカールへここへ来るよう伝えろ。」
「王妃様と王子殿下に......御意のままに。」
そういって部屋を出る騎士。
「どうして家族を呼んだ?」
さっきまで黙っていたシキが聞いてきた。
「そりゃ全員いた方が病気が完治する喜びは大きいだろ?」
「そこまで俺を信用しているのか? 随分とできた人間だな。」
「文句あるか?」
「いや、家族思いで人格者なのはいいことだ。」
そりゃどうも。
「あの......どちら様でしょうか?」
娘のクレアが声をあげて気づく。
......やべ、忘れていた。
****
俺の存在に困惑して声をあげた今回の患者であるクレア王女。なかなか透き通った声をお持ちのようだ。
すかさず爽やかな笑顔を意識しつつ自己紹介。初めから悪印象はよろしくない。
「俺か? 俺は詩輝。冒険者だ。今回は君のお父上の要請で君を治療しに来た。以後お見知りおきを。」
「お前......態度が変わりすぎだろ......。」
ん? なんか言ったか?
「治療......?」
まだ俺の言っていることが理解できていない王女。
「今日で君は苦しくなくなるということだ。」
ミクロ単位まで噛み砕いて軽~く言ってあげると理解が追いついたのか驚いた顔でこちらをまじまじと見る王女。いい顔をしているのでついついその視界を記録してしまった。ホントにこの体って便利。
すると縋る様な目になった王女は問いかけてきた。
「ほ......本当に......治るんで......すか?」
「ああ。」
「自由に外を歩けるようになるんですか?」
「王族だから護衛は要るだろうがな。」
「みんなと、食事ができるのですか......?」
「ああ。」
そして目尻に涙を滲ませながら、
「もっと......長く生きられるのですか?」
「ああ。」
「......っ!」
感極まって泣き出す王女。ホントに美人はどんな顔をしても様になるのな。
そこに......
ガチャ
「父上!」
「あなた!」
入ってくる王子と王妃。
......この時、王族と『怪物』の運命は出会いを果たした。
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