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神を超えし頭脳

 「ん......? ここは......?」

 寝起きのような声を上げて詩輝はそう呟く。


 「やあ。久しぶり詩輝。」


 一面の白い世界の中に響く聞き覚えのある声。


 「ああ、久しぶりだなエヴァ。」

 「神の僕には時間の感覚がないからあまり実感はないけど、一週間は話していないよね。」


 そういえば暫くエヴァからの呼び出しがなかったな。

 「悪い悪い。俺は自主的にそっちに行ける訳では無いし、最近忙しかったからな。」


 「そうでも無いよ。君のやることを見ていたし。君のテンプレに向かって突っ込んでいく方針は斬新でなかなか面白くてね。」

 「じゃあ俺の企みは全てわかっていると。」


 「王女嫁計画はなかなか興味がひかれているよ。」

 「何も言わないのか?」

 割と腹黒いことをしている自信があるのだが。少しmatchポンプ気味だし。


 「別に? むしろ上手くやって欲しいと思っているよ? 君との相性も悪くないみたいだし。」

 「......? みたい? まるで知らないものを言っている言い方だな。」


 神は全知全能じゃなかったのか?

 「君は......というか君達は僕を全知全能だと思っている節があるんだよね。じゃあ聞くよ。僕って何?」


 「お前が何か? ......わからん。教えてくれ。」


 「そうだね......何も無い所に情報は生まれない。それは僕も同じだよ。」

 ほうほう

 「そして僕は数多あり増え続ける世界の内包する星。その全ての総体さ。」


 ほう。

 「つまり?」


 「僕の意識の所在。つまり君達で言う脳は膨大な数の世界という名の情報が変動する神経素子の総体なんだ。つまりこの空間は僕の意識の中で形成された夢に近い。そして僕が感じ、干渉し、思考できるのはその範囲の中でのみ。だから時間軸には干渉できないし、また別の存在である魂には干渉できないんだ。」


 そうなのか。あくまでもひとつの広大な脳だと。

 「だから僕は様々な世界の過去に起こった出来事を知ることが出来るし、自身の処理能力に任せて相手の現在考えている事も分かる。更には考えたり体を動かすみたいに事象を調節できるけれど、時間軸は同じだから結果的にその人がどんな未来を進むのかは知らないし、わからない。勿論過去にも干渉できない。」

 「意外だな。もっと色々できるのかと思っていた。」

 「がっかりしたかな?」

 「いや。思ったより理解可能な存在で安心した。」

 


 「そんなこと言っているけど......君も似たような存在だよ? むしろ処理能力は僕を超しているし。影響力は僕の方が上だけど......。」


 「マジか。」

 「嘘ついてどうするのさ。」

 確かに。


 「まあ明日は王城、頑張ってね。」

 「ああ。じゃあな。」


 そうしてまた詩輝の意識は落ちていった。


 朗報? 詩輝、神の知能を超える。



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