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闘技大会(9) 親子対決

感想下さい(涙目)

どこどこに違和感あるとか世間話とかホント何でもいいので。


 当然そんな傍目にはぶっ飛んでいて狂ったルールを聞いた観客は激高した。

 「危険すぎます!!」

 司会さんも叫ぶ。

 ゲイルは目をつぶって黙ったままだ。


 「何か問題でも?」

 あまりにもうるさいので俺は言った。

 「首を半分切るなんて......死ぬじゃないですか!!」

 「それなら大丈夫。切れても死なないから。」

 「......は?」

 「桃花とやって見せようか?」

 「......?」

 何言ってんだこいつみたいな目で見られたので仕返しも含めて......


 スパン

 標準装備の短剣で二人そろって首をかききった。


 !!??

 観客がどよめく。そして噴水のように噴き出る血を思い描いたが......


 血は出なかった。

 それどころか二人はそこら辺を動き回り、頭に手を当てて首をもとの位置に戻した。


 「な? 大丈夫だろ? そういうスキルなんだ。」

 声帯もくっついたので一応スキルと保険をかけながら言い切る。


 「死人が出ないと言い切れるのか?」

 先程まで黙っていたゲイルはそう聞いてきた。


 「おう。」


 「そうか......許可する。」

 


 「わかりました......それでは準備はよろしいですね。......始め!!」


 心なしかテンションの下がっている司会の合図とともに、あらかじめ桃花と打合せしておいた通りに魔導システムをスタートした。



 シュウウウウウウウウ ベキッグチャッメキメキビキィッ


 桃花は光り輝く白い帯を、俺は不気味に脈動する紅い触手を肩から展開した。


 演出のために桃花の触手は美しく見えるようにしてるので、ギャップが凄い。


 そして異音が響く中、俺たちは変身を完了した。


 「おお......。」

 誰かが声を漏らし、他も唾を飲み込む。それほど圧倒される光景がそこにはあった。


 桃花の方は、白く光り輝く鎧をまとった天使。詩輝の方は......


 『怪物(バケモノ)


 そういっても差し支えないほど不気味だった。

 全身は人型で赤黒く染まる肉に浮き上がるどす黒い血管で覆われ、ところどころにどこか骨を思わせる黄ばんだ白色の外骨格。そして何より......本人は埋まっていた。

 その首のない人型の胸にまるで磔にされたキリストのごとく突き出た上半身。腰から下、肘から先は皆肉に埋まっており、唯一その顔に本人を感じる。そう、これこそが......


 『触手器Ver.人型』 詩輝のロマンあふれる怪物像である。ちなみに制作にかかった時間は調整含め72時間。


 不要な臓器を縮小、上半身に集めて下半身を消し、体長4メートルのnMS触手100パーセントの人型の胸に腕と腰をくっつけて作られた。骨格も触手を凝縮して作ってあるので全身伸縮自在。本来内臓がある部分にも触手を詰めてあるので体幹も頑丈だ。外見のデザイン以外の構造は桃花の天使とあまり変わりは無かったりする。


 さて、そんなハイスペックな肉体(3~4メートル)が二つあると、存在感がとてもあるわけで、みんなが黙るのもうなずける。


 「じゃ、行くぞ。」

 「うんっ」

 先手必勝とばかりに桃花に急接近したが、桃花にあっさり躱されて腹パンが飛んでくる。


 「ちいっ」

 躱し切れなくて横腹に食らい、宙を浮く詩輝。だが、


 「そらっ」

 刃を展開した両腕を射出、右腕と左足の付け根を切り飛ばす!!


 「ちょっ!!??」

 ズパンッ ガインッ

 左足は落とせたが右腕は巻き込んだ翼に防がれて弾かれた。ちくせう。


 「娘の手足をもぎ取ろうとするなんていきなりにしてはひどいと思うの。お父さん?」

 足の付け根から白い帯を出して落ちた足と接続、修復しながら桃花は言った。


 「はっ、親に唐突な腹パンを仕掛けてくるのもどうかと思うぞ?」

 「まず仕掛けてきたのはお父さん。だから正当防衛。」

 「ぐっ」

 「私も本気出すけどどうせお父さんが勝つだろうしお詫びに後で何かおごってよ?」


 ......ちゃっかりしてんなこいつ......そもそもオートマタだから食事なんていらないのに。さらに人間らしくなったな。


 「「じゃあ」」

 二人の声が被る。


 「「久しぶりに本気で模擬戦する(しよっ)か」」


 そしてこの異世界の歴史に残る怪獣大決sげふんげふん......親子対決が始まった。

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