闘技大会(7)
投稿が遅れてすいませんっでしたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
今後も見捨てずに読んでいただけると嬉しいです。
「次の試合は準決勝!! この大会を勝ち抜いた猛者は......相手の攻撃を受け流す美しい技と力を大幅に上昇させるスキルで有名なSランク冒険者『柔剛』のグレンと......相手をことごとく瞬殺し、頭角を示している今回のダークホース、シキ!!」
俺、ただいま無双中。とりあえず敵を片っ端からカッ飛ばしてとりあえず準決勝まで来た。
レンの後に戦った奴は不意打ちが得意な忍者もどきだったけど俺の知覚システムと反射速度から逃れられるわけがなくあえなく散っていった。ちなみにランクはB。なかなかの猛者だったらしい。
(......にしてもSランクか......さっきまでとはえらい違いだな。)
ステージに出て対戦相手と対面した俺は思った。
かといって何か特筆するべき特徴はなく、普通の長剣と高級そうな防具を身に着けていて無精ひげを生やしているおっさん......何が変なのかと言われれば何も変ではないが......さっきから割と筋肉達磨をよく見かけるから少し新鮮に思えたのだろう。
しかしこの世界、レベル制とかないし魔素も効果的に利用できていないのもあって人類は全体的に無茶苦茶弱い。魔素が全くない地球と比べたら少しだけ強いが......少なくとも俺の知っているラノベ内の中堅冒険者達の方が優秀だと思う。もうちょっと技術とか小ネタスキルがあったりして。これが創作と現実の差なのかと思えなくもないが......夢がないな。考えるのはやめよう。
「それでは準備はよろしいですね。......始め!!!!」
俺が思考を打ち切ったのと同時に開始の合図が鳴り響く。その瞬間、
ヒュンッ
相手の姿がぶれ、残像を残して俺の目の前に剣を横なぎにして現れた。
ガインッ
すぐさま抜き放ったイモータルソードと長剣がぶつかり合い、火花を散らして弾ける。その反作用を利用して後ろに跳び上がり、俺の続けざまに放った袈裟掛けの一撃を回避した!!
「おお......。」
思わず声が漏れた。今までの相手とは違い、自分のスピードと膂力についてこられているグレンに驚いたのだ。
「じゃ、行くぞ」
そう言って俺はちょっぴり出力を上げてグレンに突撃し、先程と同じ袈裟掛けの一撃を放った。
するとグレンは剣を前に突き出し、
キィィィィィィンッ
硬質な音を立てて受け流される俺の大剣。その精度の高い計算しつくされた角度はアダマンタイト複合素材製の超重量の生み出す運動エネルギーを完璧に吸収、そらして見せた。
ドオォォォォォン!!
地面にめり込むイモータルソード。思いのほか深く刺さっており、抜くのに数秒だがかかった。もちろんSランク冒険者がそんな隙を見逃すわけがなく、剣は振るわれる。その光景を見ていた誰もがシキの敗北を想像した。
キンッ
だがその予想は裏切られた。掲げられた詩輝の手甲が裏拳を繰り出して長剣ごとグレンをたやすく吹き飛ばし、その間に詩輝は態勢を整える。
(ふ~あっぶねあっぶね。で、こいつはどうやって倒すか......)
そうして詩輝はコンマ二秒で答えをはじき出して見せた。
(触手で体を固定して筋力を底上げ、受け流せないように叩きつけよう。)
そう、詩輝の導き出した答えは正面突破。ごり押しとも言う。受け流すという技は人体の構造に沿って力の入らない方向に攻撃を誘導、自分からそらすという技だ。つまりバランスが崩れないよう触手で体を地面に固定、一切剣筋をずらさないで押し切ることができれば、受け流すことはできない。
というわけで思い立ったが吉日といった感じに伸びをした詩輝は、触手を展開した。
ベキッグチャッメキメキビキィッ
雰囲気を出すために音もつけてみた。脈動し、皮膚を突き破って体を覆う様はとても不気味だ。観客は声も立てずに詩輝を凝視し、グレンは対戦相手の急激な変化にいぶかしげな視線を送る。
やがて止まった触手は、最終的に詩輝の肩から手までと腰からつま先までを覆い、体を固定するために足の裏からスパイクのように地面に突き刺さっている。
「それでは失礼。」
ドオォン
轟音を立てて触手の外骨格の補助を受けた俺は生体の神経伝達速度を超える速度で移動し、グレンに急迫した。
「っ!!」
まあ、そこはSランク冒険者。神経も強化されているのかギリギリ対応して見せた。剣を傾けて受け流す準備をしている。
が、ここからが本命だ。
ミシッ
と音を立てて足裏に展開した触手が地面に食い込み、続けざまに肩から展開された触手が地面に突き刺さり体を固定。剣の密度をさらに底上げして刃の原子を振動させて切れ味も強化、そのまま......
ザクッ
受け流されないようにまっすぐ振り下ろした。
あたりに金属を切ったとは思えない音が響き、グレンの長剣は断たれた。
目の前で起きた現象に僅かとはいえ目を大きく開けて動揺を隠しきれていないグレン。
ステージの上で起きたSランク冒険者の劣勢という異様な現象の連続で思考をフリーズし、言葉を失う観客たち。
エルオス王国最大を誇る闘技場は先程までの喧騒さが嘘だったかのように静まりかえった。
(......沈黙が痛い......。)
そこには触手の披露をついでにするかという軽い気持ちでやったはいいが、呆然として固まったグレンの首にとりあえずといった感じで剣を突き付けながら猛烈に後悔している詩輝が居た。
「......オレの負けだ。」
そんな声がやけにはっきりと闘技場に響き渡り、この場にいる人々が皆再起動した。因みに声の主はもちろんグレン。
「......しょ、勝者......シキ!!」司会さんも再起動してやっぱり目の前の光景が信じられなかったのか目をこすり、少し震える声で勝者を告げた。
「......」
なぜかまた静まりかえる闘技場。そこに響いたのは
「......お、お父さん!! 決勝で会おうね!!」
「「「「「「「「「「「「「「「......お父さん!!??」」」」」」」」」」」」」」」
と取り繕った感じに叫んだ愛娘の声と謎の親子関係発覚に一拍おいて驚愕する観客の声だった。
......もちろんこの後の準決勝戦で桃花がまねをして天使の翼を展開、高度からのかかと落としでAランク冒険者の対戦相手を撃沈させたのは言うまでもない。
桃花が天使の羽を展開した理由としては、愛娘を化け物扱いされないために詩輝がこっそりプロテクトをかけたためだったりする。
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「......お父さん翼になんかしたでしょ?」
「......何のことだ?」
「......」(ジト目)
「......」(ダラダラ)
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