初めてのエンカウント
ザッザッザッザ
俺は今、安心して寝るために寝床に決めた高木を目指してかなり暗くなってきた林? の中を歩いている。
......と、その時。
ガサッ、と右の方から音が立った。
俺は驚いて右を振り向いた。そこには金色に光る縦に瞳孔が裂けた二つの目がこちらを向いていた。俺はそれを見た瞬間、踵を返して逃げようと......
ズザッ、ガプリグシャッブチイッ「がァあああああああ!!??」......できなかった。
狼っぽい何かに上腕に噛みつかれるとともに骨が砕け肉も裂け、赤い鮮血を吹き出しながら右腕がちぎれた。
ボコボコ、メキッ
とともに「不老不死」が発動。肩から肉が盛り上がり高速で骨格や肉、神経が伸び、異音を立てながら右腕を再生していく。
右腕の再生開始を確認した俺は少しでもこの敵から逃れるためにもともとの目的地である比較的高めの木の下まで猛ダッシュした。
「ハァっハァッハァッハ」俺は目的の木の下にたどり着いた。
(身体強化ッ!!)
あの高いところまで腕で登ることは不可能。よって俺は身体強化を使い跳びあがることを選択した。
イメージは骨格と筋肉の強化。全身の筋繊維の含むアクチン・ミオシンフィラメントの増加とその力に耐えられるように骨格の分子間結合力の強化を強くイメージ!!
ドゴオッ
とんでもない音とともに俺の体は一瞬にして20mは軽くあるであろう高木のはるか上に飛び上がった。
(アッやべっ)と思った瞬間俺は重力に引かれせめて頭はと手で守りながら沢山の枝の中に突っ込んだ。
ベキベキベキベキ
骨格を強化された手足と胴体に容赦なく太い枝がぶつかっては折れていく。そして俺の皮膚や服も当然ボロボロになっていく。
ガッミシッ
何とか下から二番目の枝で止まることができた。
(いてぇ)
さんざんだ。不老不死じゃなかったら今頃死んでいただろう。そして、
(もう......疲れた。)
指が灰になったり腕を食いちぎられたりで詩輝の精神はすっかりすり減ってしまっていた。
しかしこのままでは落ちてしまうので近くの枝を「改造」して体を固定する輪を作り、俺は安心感と共に意識を手放した。
......こうして詩輝のいろいろさんざんだった異世界での一日目は終わりを告げた。
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