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闘技大会(6)

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 「......今日の最後を締めくくる戦いは......なんと!! あのシキと同じパーティーに所属している桃色の髪をした美少女!! トーカと......この王都のギルドマスター、『剛力』のゲイルを超える巨漢、Aランク冒険者『人間戦車』のアブド!! あまりの体格差に理不尽を感じませんか!!?? 皆さん!!」


 途端に湧き上がる観客席からのブーイング。美少女が心配されるのは何処に行っても真理だな。


 (理不尽とか......何言っちゃってんだこいつ。司会のくせにマッチング結果をディスっていいのか?)


 そんなことを思っていると何やら司会にゲイルが笑みを浮かべながらささやいた。


 「えっ......? ......すみません!! 少しギルドマスターからアブドさんへの助言があるそうです!!」


 そして司会から拡声の魔道具を受け取ったゲイルは立ち上がって言った。


 「おいアブド。トーカには全力で当たれ。シキのことは見ていただろう? シキとトーカは......揃って『怪物』だ。」


 「ふんっ。俺があのガキンチョに負けるとでも?」


 その見た目に似合う荒々しい声で鼻で笑いながら聞き返すアブド。ゲイルは黙ってイイ笑顔で親指を立てている。



 「まさかの一選手への肩入れ!! ......え? 『あいつらにはその程度ハンデにすらならないから問題ない』!!?? どんな強さを秘めているのでしょうか?? ......それでは両者、位置についてぇっ!! ......始め!!」


 司会まで興奮しだし、一気に観客席からの熱気が膨れ上がる。



 「うおおおおおおおおおおおお『戦車装甲(タンク・アーマー)』!!」


 アブドがスキルを発動し、奴の全身に甲冑のような甲殻が生成される。


 「行くぞ!!」


 スピードも上がっているらしく、凡人の動体視力を超えて突進するアブド。すぐに桃花とぶつかり、爆音と土煙がステージに広がる。誰もが無様に跳ね飛ばされる桃花を想像し、目をつぶった。



 ......が、


 「ガハっ」


 土煙が晴れた先に見えたのは桃花に胸部の甲殻をつかみ上げられ、苦しげにうめくアブドだった。



 「「......。」」


 やはり観客席は静か......ん? なんか涙を流しながら喜んでいる奴がたくさんいるんだが......桃花の可愛さを見た後にあんな一見ショッキングな光景だったから安心したのか?


 ぶんっ「ぐえっ」


無造作に投げ捨てられるアブド。


「おおーっとここでまさかの展開!! トーカがあの突進を止めた!!?? どこにそんな力があるのでしょうか!!」


「ぐ……チクショウ、馬鹿にしやがってぇっ!!」


逆ギレして再度飛びかかるアブド。学習しろよオイ。バカなのか? ......バカじゃなきゃこんな事しないか。というかなんでこいつはAランクに上がれたんだ?


バキィッ


やはりと言うかなんと言うか桃花に腹を殴り飛ばされて無様に宙を舞うアブド。......結局イモータルソードは使わないのな。



ドオオオオオオオオオオオオン!!


盛大に地響きを立てて頭から着地したアブド。上半身が地面にめり込んでいるがスキルは展開しているし大丈夫そうだ。



「しょ、勝者!! トーカ!!!!」


あんまりな光景に静まりかえった闘技場に、唖然としながらも勝者を告げる司会の声が響き渡る。


 (お疲れ、桃花。)


俺はそう愛娘に言い、手を振った。



 ......さて、帰るか。





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