闘技大会(1)
「ほれ、それが新しいギルドカードだ。......そういやシキ?」
「なんだゲイル?」
「お前は闘技大会に出るのか?」
「......それはなんだ?」
「......あれほどの腕があるのに知らないのか?」
「ああ、知らない。」
「闘技大会はここを含め大きな街に大体ある闘技場を利用した参加者自由、致命傷以外何でもありで行うギルド主催の実力を見せ合う大会だ。ここのような王都では王様や皇帝とかが見に来る場合もあるぞ。上位に入れば多額の賞金もあるし、うまくいけば召し抱えられるということで一攫千金や出世を夢見る奴らが結構来る。」
ほう、王が来るのか......謁見フラグを立てるチャンスだな。賞金を投げてでもこれはつかむべき。
「賞金の具体的な額は?」
「トップが四千万ルーア。そこから三千万、二千万、一千万、九百万......といった感じだ。」
......結構大額だな。
「いつ開催だ?」
「あと九日後だ。」
「結構すぐなんだな。」
「ああ。それで、お前は参加するのか?」
「参加費用はいくらだ?」
「一人五千ルーアだ。」
......結構高いな。だが俺達はつい昨日三万ルーア稼いでいる。金銭的には問題なし。もちろん優勝は決まっている。後はどこまでこの体の性能を表に出すかだが......エクステンドフィンガーはもはや手遅れだから出して良し、兵器は......極限までヌルゲーになりそうだから却下。魔法は良しとして......触手ぐらいは......いいのか? そういえばパーティーとかどうなるんだ?
「なあ、パーティーはどういう扱いになるんだ?」
「あくまで一人づつだ。パーティー枠は存在しない。」
「......困ったな。どっちに優勝してほしい?」
「優勝する気しかないと。」
「もちろん」
「言っちゃなんだが......化け物級の奴らも結構来るぞ? 魔法使いも。」
「お前は何を見ていたんだ? 俺はちゃんと派手な魔法を使えるぞ? さっきの模擬戦では使わなかったが。」
「......マジか。」
「マジだ。」
「あれで魔法もしっかり使えるだぁ? 反則じゃねえか。」
そんなに褒められたら照れるじゃないか。
「褒めてねえよ。」
「察しが良いな。」
「マジでそう思っていたのかよ。」
「おう。......というわけで出るからよろしくな。これは2人分の参加料だ。」
「手続きを丸投げか?」
「魔法の基礎を教えてやった授業料だ。お前ならできるだろうし、そのくらい払え。それでチャラにしてやる。」
「......わかったよ。」
「そういえば一つ聞きたいことがある。」
「なんだ?」
腕から触手をはやしてゲイルに見せた。人に見せるのは初めてだな。
「これってスキルで押し通せるか?」
「なんだその禍々しい触手は。」
「俺のスキルと多数の魔法を応用して獲得した俺と桃花が持つ能力の副産物だ。同じ副産物として俺達の今の身体能力がある。」
「あれが副産物? 何をしたんだ? まあ、ギリギリ......行けると思うぞ。」
「そうか。闘技大会になかなか手ごわいやつがいたらこれを使うかもしれないから楽しみにしてろ。そして腰を抜かせ。」
「ガハハ。楽しみにしている。」
「ちなみに翼は?」
「......生えるのか?」
「......。」(^_^)v
「......一応やめておけ。下手したら魔物認定されて討伐対象だぞ。」
「そうなったら全力で討伐軍をつぶすだけだし別にいいけどな。」
「......。」orz
「そういえば結局どっちに勝ってほしいんだ?」
「......もうお前らの好きにしろ。」
「全力でそうさせてもらう。」
「......。」
「......。」
「......。」
「......ちなみに俺まだ生後一か月なんだ。」
「嘘つけ。」
「HAHAHAHA」
さすがに信じてもらえなかったか。
まあ、この世界では......だがな。
闘技大会まで、後九日。
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