模擬戦 ゲイルvs桃花
「それでは......始め!!」
次はゲイルvs桃花の模擬戦が始まった。俺は観客席から見ている。ゲイルは剣を構えているが、桃花は背中の大剣を抜かずに拳を繰り出している。肉弾戦で行くつもりらしい。
「おいシキ、トーカが剣を抜かないんだが、拳を切っちまってもいいか?!!」
「おう、全力で戦ってくれ。じゃないと桃花の実力の十分の一も見れないぞ?」
「お前ら絶対人間じゃねえだ......ろ!! うおっ!!??」
バキッ ドサッ
剣vs拳という普通は無謀な戦いに困惑したようで桃花の拳を避けながら大声で俺に確認するゲイル。だが最後に何か叫んだ時桃花が突然拳の軌道を変更、ボールが弾むように横へ無様に吹き飛ばされた。哀れゲイル。
「げほっげほっ。今のであばら折れたぞオイ......なんで剣を食らって無傷なんだよ。」
闘技場に剣を突き立てて砂煙を立てながら減速したゲイル。吹き飛ばされる最後の一瞬剣で桃花の腕を切りつけていたがそんな軽い鉄レベルの剣で桃花の体を傷つけられるわけがなく当然、無傷。それを見たゲイルは何やら打開策を見つけたらしく、動き出した。一応脳筋ではなかったらしい。見直したぞ、ゲイル。
「剣には剣を、拳には拳だぁぁぁぁぁぁぁ!!」
見事な脳筋思考。
......ちょっと見直した俺自身を見直すべきだったようだ。
だが一応経験があるのだろう。明らかにこいつの筋肉は剣を振るためだけではなく、格闘戦の方面にも回復任せの異常発達をしている。たいていの堅い生き物は内部に衝撃を送るとダメージ入るし。それには剣は邪魔なのだろう。うん、そう考えていると思いたい。
......じゃなかったらこの世界のAランク冒険者がくそ弱いということになる。もしそうなら俺この世界の戦神とかになれてしまう。もっと魔素を有効活用しろよ。
......そういえばこいつら魔法使わないのか? 普通に身体強化とかのスキルとしてあるじゃん。
ドスドスドスドス......
何やら肉を打つ音が連続して聞こえてきたので思考を模擬戦へと戻した。
「しょ、勝者、トーカ!!」
よし。これで俺らのDランクは約束されたっと。
「オイオイ、さすがに冗談だろ。なあ、ゲイル?」
ゲイルは俺が戦いから目を離した数瞬の間にズタボロになって桃花の足元に転がっていた。どうやら瞬時に回復できる限界以上のダメージを受けてしまったらしい。
「シ......シキ......お前ら絶対人間じゃないだろ......。」
息も絶え絶えになりながらそう言うゲイル。
......失礼な。確かに俺らは人間じゃないが、俺自身はつい最近まで人間だったぞ?
「お前ら、魔法って知ってる?」
「「「「「「「「「「「「「「「「「「知ってるが?」」」」」」」」」」」」」」」」」」
ちょっと時間を置き、ゲイルは完全に回復したようなのでゲイル含め、この場所にいる冒険者たちに問いかけた。
「ちなみに魔法って何をもって魔法というんだ?」
「そんなの俺らは使えねえし知らん。知っていて使えたら今頃魔法使いだ。」
ゲイルが代表して答えてきた。
なるほどそっからか。
「ちょっと講義してやるからこっちに来い。全員。」
そう言ってこちらに全員を集めた。
さて、いっちょ魔法知識を披露しますか。
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