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勘違い


 ザワザワ ザワザワ


 桃花とそれぞれ二匹ずつチャージボアを担いでギルドに戻ったら何やら騒がしくなってる。何やら冒険者たちが「情報」の受付に押しかけていた。


 気になったので冒険者達が「情報」の受付に集中してがら空きになってる「依頼」のアリスの受付で依頼完了の手続きをするついでにちょっと聞いてみる。


 「......ほんとに二人ともどうやったらチャージボアをこんなに軽々と担いでこれるんですか? おまけに傷らしい傷もないし......。」

 戻るときに王都の人たちからいろんな注目を浴びたがな。

 「ちょっとしたコツと力でできるようになるぞ。」

 適当にはぐらかして、

 「ところで何なんだこの騒ぎ?」

 「ああ、何やら採集の森で正体不明のAランクに相当すると思われるモンスターが現れたようです。話によるといたと思われる場所付近の木々に無数の穴が開いていて、何本かは真ん中あたりで木っ端みじんになって倒れていたらしいです。付近には血も飛び散ってたらしく、見つけた冒険者が慌てて走って戻ってきましたよ。今具体的な対処をギルドマスターが検討中です。あなた方も何か知っていたらぜひ教えてください。」

 ......心当たりしかない。帰り道でなんか猛スピードで走っていた奴を見たのはそれでか。俺は背中にかくはずのない冷や汗を感じた。頬がひきつるのを感じる。


 「あ~。情報はそれだけ?」

 「それだけです。」

 「具体的な情報はないんだよな?」

 「そうですが......?」

 「じゃあそのためにここまで騒ぐ必要はないのでは......ないか? 自然に起きた可能性は......」

 「何言ってるんですか? 木が自然に木っ端みじんになるとでも? 」

 「......。」

 何も言えねえ。


 「......さっきからシキさんおかしいですね。何か必死になってるような......。」

 ギクッ

 nMSでナノレベルまで完全に制御されているはずの体が少し反応してしまった。これ詰んだな。

 「やっぱりなんか知っているようですね......。」

 「......。」

 「......。」

 「......。」

 「......。」

 無駄な抵抗と知りつつ全力で口をつぐむ俺と疑いの視線を送ってくるアリサ受付嬢。

 当たり前だが騒がしい場所にある無言の空間は自然と人の視線を引き付けるわけで、みんなこっちを向いて視線で謎の圧力をかけてくる。


 「......はぁ、降参だ。」

 これ以上は時間の無駄だと思った俺はあきらめた。

 「話してくれるんですねっ!」

 してやったり顔のアリスさん。 


 「その前にこのことを伝えてきた奴は誰だ?」

 「シキさんたちと同じEランク冒険者のカイさんという人です。」

 「カイとかいう奴、ここにいるなら出てきてくれないか? 確認したいことがある。」

 そう冒険者達の集まっている所に向かって呼びかけると一人の気弱そうな茶髪の奴がおずおずと出てきた。あいつがカイというのだろう。

 

 「ぼ、僕はここですけど......何かありましたか?」

 そう聞いてきたのでさっき納品したばかりのチャージボアをアリスに頼んで持ってきてもらい、口を開けさせてそこに一つだけある穴を見せる。


 「ここに俺たちがチャージボアを倒すためにあけた穴がある。お前が見たのはこの大きさの穴か?」

 「ええ、そうですけど......ってもしかして......。」

 気付いたようだ。なかなか頭の回転数が速いらしい。周りでもわかる奴は反応している。


 「そう。そこは俺たちがチャージボアを狩っていた場所だ。そしてお前が見たのはその跡だ。」

 「え、でも木が木っ端みじんになってましたけど......。」

 「俺たちはスキルが少し特殊でな、そういうこともできるんだよ。」

 「ぐ、具体的には......?」

 「そういうのはご法度ではなかったか? 俺より先輩であるならそんぐらい知ってると思うが......。」

 「そ、そうですね。すみません。」

 飯の種は大事だからな。まあ、いつまでも隠していたら肝心の俺tueeeeeeができないしいつか分かる日は来るだろうけど。


 「聞いていただろ。別にAランクモンスターなどいない。ということでやることは果たしたのでさようなら。」

 そう固まってるアリスに言い残してから報酬金を勝手に受け取った後みんなをしり目にギルドを出て小鳥亭に戻った。

 

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