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チャージボア(1)


 「......ん。知らないてn」 知ってる天井だった。あのお約束を忘れてしまうとは不覚。


 そう一人寂しく突っ込みを入れた俺は素早く体を起こして現状確認。

 俺はベッドに寝ている。服に特に目立った異常はなし。毛布も乱れていない。桃花はいつも通りまだ寝てる。頭部の魔素の動きが徐々に激しくなってるからもうすぐ起きるだろう。


 ......ほっ。どうやらリースのヤンデレ襲撃イベントは無かったようだ。というか鍵は俺が持ってるから普通来ないか。


 そう自己完結した俺は服装を部屋着から冒険者スタイルに変換。ソフィアと通信をつなげ、今までの報告をさせた。

 ......ほう、あのおっさんバートって言ったのか。そして俺に害意があったから飛び降り自殺を装って排除したと。まあどっちにしろ短気っぽいし金がないから何かいざこざを起こして巡回してる衛兵に捕まって奴隷とかそういうパターンになるだろうから本人の精神衛生的にも周りの予想される被害を考えてもベストな判断だったのかな? 


 ......まあどっちでもいいや。多少テンプレ要素が欠けたのは惜しかったけどどうせこれからも来るでしょ。


 「おい、桃花起きろ。」

 「......ぐぅ」


 こいつ......二度寝をしようとしていやがる。


 コンコン

 お、ララが起こしに来たようだ。

 がばっ 「おはようっ! お父さん! いい朝だね!」

 ララが来た瞬間装備を変換しながら起きた。変わり身早いな。

 

 「おはようシキ、トーカ!」

 向日葵のような笑顔でドアを開けるララ。今日もかわいいな。


 「起こしに来てくれてありがとうな」

 そういいながらよしよしと頭をなでる。

 「えへへ」

 嬉しそうだ。


 「じゃあ行くか。」

 ララの頭を満足するまで撫でた後食堂まで下りて空いている席に座った。


 「おはようシキ君とトーカちゃん。はい、今日の朝ごはん。」

 エマさんが朝食をトレイにのっけて運んできた。

 

 今日のメニューは安定の黒パンになんかの野菜と魔物肉のシチューだった。昨日の朝食よりも品数は少ないが量が多い。どっちにしろ雰囲気はあってうまそうだ。

 今回は少し好奇心で黒パンをちぎって口に入れ、噛んでみた。

 ガリっ


 ......石を噛んでると思うほどの堅さだった。口から出すのもはばかられたので唾液アミラーゼの濃度を高めた唾液を大量分泌、デンプン質を急速に分解しながら出力を上げた顎で素早く咀嚼、嚥下したあと普通に食べ始めた。


 「......ご馳走様。」

 皿をきれいに並べて席を立つ。

 ......今日もギルドでなんか適当な依頼を受けるか。

 まだFランクなので無双できるような依頼は受けられない。だがそれもそろそろあるらしいランクアップ試験までの辛抱だ。


 ギィ......

 ギルドの中に入っていつものように周りからの様々な視線を浴びながら依頼を物色する。

 「桃花、これなんかどうだ? チャージボアの納品30頭まで。一体につき1000ルーア。一体一体でかいから俺が倒してお前が適当な数たまったら担いで持ち帰る。どうだ?」

 これをやれば今日中に3万ルーア手に入る。ゴブリン駆除とは比較にならないほど高効率に稼げる。出力を上げれば2トンぐらいまでは軽く持ち運べる俺たち向けの依頼だ。


 「いいと思うけど最後の2頭はお父さんが運んでね!」

 こいつ......最近少し図々しくなってないか? 最初のころはあんなに素直だったのに......これが反抗期というやつか? まあ帰るついでなら別にいいか。


 「わかった。それで行こう。」

 

 ギィ......この数日で聞きなれたギルドの扉が響く音になんとなく視線を移す。......お?


 「昨日ぶりだな。リース。」

 昨日のパーティー『戦乙女』が入ってきた。

 「ん。......シキ達はこの依頼を受けるの?」

 「おう。力がある俺達には最適な依頼だと思ってな。」 

 「......確かに。その大剣を軽々と振り回すシキ達には最適。」

 「なんだ、小屋から見ていたのかよ。」

 コク


 見ていたらしい。別にみられて困ることはしてないが。


 「で、お前たちは何を受けるんだ?」

 「......ダイアウルフ狩りとか?」

 「「いいと思う(います)」」

 今日も息ぴったりな姉妹組。


 ......そういえば俺がこの世界で一番最初に出会ったのってダイアウルフだったな。懐かしい。

 「いんじゃないか? 怪我には気を付けて。」

 俺は腕を食いちぎられたからなぁ。


 そうこうしているうちに受付の列は進み、いつもの受付嬢さんのところに来た。そういえば名前一度も聞いてないな。

 「おはよう~。」

 「おはよう!」

 「はぁ、おはようございます。......チャージボアの納品ですか。突進には気を付けて......っというかあなたたちは真正面から殴り飛ばせそうですよね。何でもないです。」

 ひどい言われようだ。

 「ところで名前、なんていうんだ?」

 「......?アリスと言います。」

 そうか、アリスか。覚えておこう。

 「チャージボアを30頭まで可能な限り獲ってくること。一頭につき1000ルーアです。よろしいですね?」

 「問題ない」

 「大丈夫!」

 「わかりました......頑張ってください。」


 俺達はいつも道理「採集の森」に向かっていった。



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