合流、提案
チリィン
「あーシキとトーカだ! おかえりなさい!」
少しそこら辺を散策してから宿に戻ると、ララが満面の笑顔で迎えに来てくれた。毎回思うんだが非常に癒される。
「あ、いたいた。」
戦乙女の面々はすでに戻ってきて食事をしていたので俺たちも席に座ってエマさんの運んで来た夕飯を食べ始めた。
「さっきはありがとう。おかげでカードを再発行してもらえた。」
「気にすんな。金を返してもらえばそれでいい。」
「わかってる。ところで......。」
「ん?」
何を改まった表情をして......また結婚のことか?
「率直に言う。私達をシキ達のパーティーに入れてほしい。」
......そういうことか。マイペースだがリーダーとして意外と真面目に考えてる。無遠慮に言い切るところはやはりリースだな。
「どのような利益を求めて? そして俺たちの利点は?」
「......ギルドに行ったらシキ達の評判を聞いた。」
「......あ~。ヤバいやつだって?」
「そう。でもそれは強いということも意味していた。そして実際にシキ達はすでにFランクに収まらないほど強い。だから私達の生存確率が高くなる。」
「他には?」
「......装備代が浮く可能性がある。」
おかしい......こんな真面目キャラだったか?
「それはリーダーとしての意見だな?」
「ん。」
「個人的には?」
「シキを誘惑する時間と手段が増える。」
「......ちなみに俺たちの利点は?」
「......特にない。夜の相手?」
「自分の体ぐらい大事にしようぜ? ......はぁ。」
見直した俺が間違っていた。
......だが、
「悪いが諸事情あってパーティーに入れてやることはできない。」
「......なぜ?」
「このパーティーに入る上で必要なものがないから。」
そう、俺たちは不死身のパーティーだ。頭部にあるnMSAIさえ無事であれば物質がある限り肉体を修復し、適応し、活動できる存在。人には過酷な状況にも迷わず突っ込めるし攻撃を受けてもひるまない。そんな不死身の兵士的存在であることが戦闘において求められる。
「......なに?」
......だがまあ今言う必要は皆無だ。
「俺たちの行動をずっと見ていればいつかわかると思うぞ。リースの寿命というタイムリミットはあるが。」
この秘密はいずればれる。そもそも俺の性格上嘘が下手だから隠しきれるものではないし。
「答えが分かれば入ることはあまり難しくない。答えが見つかった時にもそう心から思えるのであれば歓迎しよう。」
さすがに桃花と2人でこれから永久に生きるのも少しつまらなそうだしな。楽しみにしていよう。
「......ん。わかった。答えを見つけて見せる。」
「えらく自信満々だな。というかパーティーメンバーの生存確率向上の目的は何処に行った。」
「さあ?」 オイ
「俺よりいい男なんていくらでも居るぞ?」
「......ゴブリンに犯された事を隠す罪悪感があるからいや。」
こいつに罪悪感の三文字があったのか。
「それにシキ以外の男をを見てると悪寒が走る。」
そんなシャイだったか?
「......ちなみに今の俺を見た感想を聞いても?」
「叩き潰して自分の衝動の行くままにこねたくなる。」
「ずいぶんと物騒だなオイ......それがお前の『好き』だと?」
「ん。」
「それは『好き』ではない。ただの破壊衝動だ。」
「......言い換える。襲ってめちゃくちゃにしたくなる。」
なんかヤバさがグレードアップしたような......?
「さっきからお前の言動にルミとミナが固まってるぞ?」
「関係ない。」
「そ、そうか。頑張れよ。じゃ、じゃあ俺たちはこれで。」
何を頑張るのか知らんがとりあえず離脱。桃花を連れて食べ終わった皿を整えて部屋に戻る。
「はぁ......。」
もしかしてあの子少しヤンデレの素養があるのでは......?
だとしたら俺の貞操が危ない!!
童貞卒業を目指してるくせして貞操の危機を感じた詩輝であった。
ギャグとシリアスの使い分けが難しかったです。アドバイスがあったら是非ください。
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