ゴブリン駆除(4)
「そういやお前ら冒険者カードは持ってるのか?」
「あっ」
「「あ」」
......どうやら襲われたときに無くしたらしい。
「再発行する必要があるな。」
「「「......そうみたい(です)。」」」
「再発行はいくらだ?」
「一人200ルーア。......でももってない。」
「じゃあ通行料込みで一人当たり450ルーアか。いいぞ、利子無しで貸してやる。ちなみに泊ってるところは?」
「......ありがとう。助かった。泊ってるところは小鳥亭。まだ3日は宿泊できるはず。」
「そうか。ところでお前がこのパーティのリーダーか?」
「そう。」
なるほど。一番落ち着いてるわけだ。
「ちなみにどういう関係で今のパーティを?」
「故郷の村から3人で飛び出してきた。」
「おう、そうか。」
なかなか思い切りのよいお嬢様だな。
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「......おっ。もう少しで王都に着くぞ。」
......何とか夜になる前に着いたようだ。夜になると門が閉ざされて中に入れないからよかった。幸い門の前にはほとんど人がいない。
「じゃあとっとと中に入るぞ。後これ1350ルーア入ってるからそれで入れ。後で返してくれればそれでいい。利子は要らん。」
そう言って金の入った袋を渡すと、
「「「ほんとに何でここまでしてくれるの(ですか)?」」」
やっぱり聞いてきた。そうだな......。
「俺達はスキルの関係でちょっと特殊でな、装備も自前で簡単に作れるからそこまで金が要らないんだ。だから個人的にはそこまで何かした実感は薄い。......あとは良き人間関係のための投資だな。」
やっぱ隠す方面で。
「人格者......やっぱ結っこn......」
「お断りさせてもらう。」
なんか肉食動物が獲物を見るような目になっててちょっと怖い。この最強生物を怖がらせるとは、こいつ......できる!
「おお、無事に帰ってきたか。冒険者カードを見せてくれ。......よし行って良し。......ところで後ろの3人はどうした? どっかで見たような顔だし。お前、まさか......。」
「勘違いだ。ゴブリンをせん滅してたら襲われてるところを見つけたから助けただけだ。カードをなくしたらしいからよろしくな。」
「お、おう。」
なんか盛大に勘違いされたが。ちなみにこいつは王都に初めて来たときに俺たちを検査していた警備だ。名前はガルド。今日の朝にちょっと話をして結構打ち解けられた気の良いやつだ。
「じゃあ俺たちはギルドで報酬を受け取てくるから小鳥亭で会おう。」
「またね~。」
「......またね。」
「「また後で。」」
ほんとに息ぴったりなルミとミナ。リースによると姉妹でルミが姉らしい。
ギィ......
ギルドの扉を開けると活気にあふれている酒場が目に入った。前いなかった連中もいるようでこっちに向けられた視線は少ない。
......ようやく冒険者ギルドって雰囲気を感じた気がする。それでも俺の人外の性能を誇る耳は拾ってしまった。
「あいつは......。」
「ああ、例のやつだ。」
「バートを吹っ飛ばした......。」
「いままで話しかけて殴られなかった奴は受付嬢だけというあの......。」
「しっ聞こえるぞ。」
......小声で俺をディスってる声を。
あと4番目の奴の言ってることがおかしい。それでは俺が誰彼無差別に殴る暴漢に聞こえるぞ。そもそも俺に話しかけた奴まだこのギルドで2人しかいないからな!!??
「こんちわ~。」
「こんにちは!」
「はぁ。無事で何よりです。成果はどんな感じですか?」
この受付嬢さんなんか疲れてないか?
ドササササっ
「......どこでこの量を?」
「巣を一つつぶしてきた。」
「ちなみにどうやって?」
「突撃してゴブリンを引き寄せ、横に一刀両断した。」
「普通そんなことしませんよ。Fランクなのになんでそんなに強いんですか?」
「ちょっとしたスキルの応用だ。」
「......もう何も言いません。......はい、報酬の8000ルーアです。」
「おう。ところで少し聞きたいんだが......ランクアップ試験はいつだ?」
「もうそろそろです。具体的な日程は試験期間3日前にあそこの掲示板に張り出されます。」
「わかった。じゃあな。」
「あなたのような評判はともかく優秀な人間は結構ギルドとして重宝しますので早く上に行っちゃってください。」
「はいはい」
励ましているのか足蹴にされているのか微妙な意見だな。
この世界の冒険者ギルドはランクアップ試験の期間を年に2回設ける。一期間で上がるのは2ランクまで。つまり今回のでDランクまで上がれる。というか確実に上がるだろう。自称最強生物の力は伊達じゃないのだ。
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