出発
「もうそろそろいいか......。おい桃花、そろそろやめるぞ。」俺はそういって昼夜問わず不眠不休で行っていた摸擬戦を切り上げ、大広間に経過報告を聞きに行った。
「情報収集はどんな具合だ、ソフィア?」
『問題なく進んでいます。』
「そうか。じゃあ報告を頼む。」
『はい。とりあえず分かったことは冒険者の制度、ランクの基準、王城内にいる人物の人となりです。』
『冒険者の制度についてですが、まず階級があり、これは上からS、A、B、C、D、Eランクとなっています。冒険者に登録すると古代の魔道具と思われる道具でカードが発行され、カードに記録される事項は登録時の名前、年齢、ランクのみ。ランクが上がるごとに発行しなおすようで発行と同時に前ランクのカードは回収される模様。会費を払う必要はなく、替わりに報酬金の1%を徴収していますね。基本的にはもめごとで損をしても自己責任ですが、ギルドが必要と判断した場合は相応の処置をとるそうです。けがなどの理由でギルドに申請、許可されなければ二ヵ月以上依頼を受けなかった時点でギルドを除名されます。』
「想像より少し厳しいな。」
『酒場も併設していてテンプレも結構起きていますよ。良かったですね。』
「いいね、わくわくする」
『次にランクの基準についてですが、正直これは才能と経験、スキルがものを言っていますね。現在の魔法はかなり退化してる模様でスキルを所持しているものが圧倒的に上位に食い込んでいます。しかしそれでもBまでは人間の範囲に収まっています。A以上に行くと、時々戦闘中に魂がスキルを獲得して筋線維が変異していたり体質が変化したなどで圧倒的センスと身体能力を獲得した人外が多くなりますね。それでも人の体で収まっており、マスターのように触手が生えるなどの例はないようです。』
「なら俺tueeeeeeも可能と。」
『何か聞かれてもスキルだと言ってごり押せば可能かと。』 よし
「OK、次行ってくれ。」
『最後に城内にいた人物の大雑把な人となりですが、これは一人になった時などの呟きをもとに推測しました。まず国王ですがこれは普通の良き王ですね。民の不満を取り除くことと汚職排除をたまにやる程度で、金遣いも標準的、武術の鍛錬も毎日してます。比較的快活な性格のようで臣下にも普段は砕けた口調ですね。税率も納得できるレベルで民からの目立った不満も見られません。次に国王の家族ですが、王子と王女が1人ずついてどちらもそこそこ頭がよく、王子の方は責任感の強い人ですね。王子は隣国との親交を深める目的でバルディーエ帝国の第一皇女と婚姻を結んでおり、本人も嫌ではないようです。王妃もお淑やかな淑女といった感じでした。以上より王家は問題ないと判断します。その他の城内にいる臣下たちも特に問題のある言動は見受けられなかったのでそこは割愛します。』
「そうか......じゃあそろそろ外にも行くか。」
『はい、問題はないかと。』
「そうだ金をいくらかエンジェルシリーズに持たせてこちらに回してくれ。それを入場料と非常用に回す。」今回はちゃんと正面から入るとしますか。
『ところで移動はどのようにしますか?』
「翼をはやして桃花と一緒にエンジェルシリーズのいる高度を飛ぶ。道案内よろしくな。」
『わかりました......どうやら必要な金が届いたようです。』
「速いな」
『包みを入れた弾を制作、レールガンで発射したようで現在は島の端に突き刺さっているようです。』
「おお......絶対使い方を間違えているが......まあ」 良しとしよう。
「じゃあ必要なものないし、普通に見える服とあったら長めのローブの構造情報を送っといてくれ。」
『もう行かれるのですか?』
「ああ、島の管理と防衛、頼んだぞ。」
『わかりました。良き旅を祈っています。』
「さんきゅ~。じゃあ桃花、話は聞いてたな、行くぞ!」 俺の存在を歴史に刻む旅に!!
「お父さん、変な顔になってるよ?」
「気にするな!!」
「やっぱなんかおかしい」
......そうして詩輝は桃花を連れて新しい世界に一歩を踏み出したのだった。
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