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調整、そして完成


 「フゥ」少し遊びすぎてしまったようだ。そう反省した俺は心を落ち着かせてから拠点のお前に整備された試験場を見渡した......


 「こりゃひでぇ」思わずそんな声が漏れだしてしまう程の惨状だった。


 頑丈なコンクリートできれいに舗装してあるはずの地面が一直線にへこみ、ひび割れている。特に最後に跳んだ場所など空から岩でも降ってきたのかと思う程にえぐれている。もちろん試射するための的は粉々に破壊されており、そこら辺に散らばっている。そして最初のガトリングガンの掃射で流れ弾に当たったのであろう、試験場の外にある草原にあった大な岩が数個木っ端微塵になっている。


 ......そして拠点の入り口からこっそり桃花がこっちを見ている。そして俺と目が合った瞬間全力で逃げようとしたので、


 「オイ」 ヒュンッ ガシッ「キャアッ」全速力で腕に触手を生成、桃花めがけて伸ばして捕まえこっちまで引き寄せた。


 「ねぇ桃花、いつから見ていたのかお父さんに教えてくれないかなぁ?」全力で逃げようとする桃花に少し穏やかな口調で問いかけた。


 「あたしを食べる気は......「ない」」なにとち狂っているんだか知らんが、この俺が自分の最高傑作兼娘に危害を加えるわけがない。


 「だいじょうぶ! あたしはどんなお父さんでも受け入れられるから!」嘘つけ。さっきまで全力で拒否していた奴が何を言っている。そして絶対俺という人間を誤解している。自由な自我を与えたことは失敗だったか?



 「まて、誤解するんじゃない。あれはただ少し興奮してしまっただ「少し興奮しただけでこの状況になるの?」うっ、それはだな......」


 ......まずい、押されている。これではお父さんとしての威厳が...... 


 そもそもお父さん歴約二日の詩輝に威厳なんてもの、あるのかどうかすら怪しいのだが......。


 ~30分後~


 人生経験が豊富なはずなのに桃花に言葉でコテンパンにやられてしまった俺は、恥も外見もなく土下座しながら必死に弁解してようやく誤解を解くことに成功した。


 おそらくこの口論でさらに桃花のnMSAIの言語野は進化したに違いない。今のままでは一生勝てないと謎の危機感を感じ始めた詩輝であった。


 ==============================================


 部屋に戻ってすぐベッドにダイブし、先程受けたダメージを癒したあと一風呂入りリフレッシュした俺は脳をnMSで造り変えるのがまだだったことを思い出し、やってみることにした。前回の反省を生かし、少々の恐怖をアッパー系の脳内物質を出させることで抑え込みつつ脳以外を構成しているnMSに実行させた。俺のやるべきことはこうしてひたすら考えごとを続け、脳内の信号を保ちつつ自己を維持することだ。


 ......そうやってとりとめもないことを全力で思考していた俺の脳は徐々にnMSに侵食され、使っていない領域からどんどん神経細胞がnMSに置き換わっていく。そして最後に前頭葉のネットワークをコピーしたnMSの塊が別に作られ、俺の前頭葉と接続、少しづつ意識の主体をそちらに移していく。ここからが勝負だと全力で集中した俺から時間の感覚が消えていく......



 ......どれぐらい時間がたっただろうか、とりあえずnMSの塊に意識を移すことを成功させた俺はnMSにもともと備わっている視覚機能を起動させた。すると......



 視界に飛び込んできたのは魂が抜けて残りの神経活動を停止させ、それでもnMSで姿勢を保っている俺だった。目に光がなく、軽くホラーである。自分の死体?をこんな状況で見れるとは思わなかった。そう少し感慨に浸りながらも、俺は俺の体と接続し、生命活動を停止してnMSに侵食された脳細胞の一つ一つに今の俺を構築しているnMSを重ねていった。


 ......そして俺は新生した。


 脳から生まれ変わってnMSに指示が円滑に通るようになったため感じるすさまじい全能感に笑みを浮かべながら俺は体を動かし始めた。


 (凄いな、体が思いのままに動く。今なら何でもできそうだ。)

 思考も思いのままに加速し、世界がスローに見えてくる。心臓を止めてみる、止まった。腕が触手になることを想像する、たちまち腕が触手になる。......いろいろ細かいことを実験した俺は、部屋にある鏡に向かった。うつるのは非常にありふれた黒髪黒目の日本人の顔。試しに顎と鼻をすっきりさせてみた。少しイケメンになった。次に太めの眉と少し垂れた目を細くまっすぐにしてみた。もうちょっとイケメンになった。肌を白くしてみる。もはや元の顔とかけ離れてしまったがかなりイケメン(主観)になったのでそれで顔を固定した。元の顔と遺伝情報はソフィアのデータベースにでも残しておこう。この世界ではこの顔で行きたいし......。新しいイケメンな顔を手に入れた俺は次に体形の改良を始めた。コンセプトは背の高い細マッチョ。少し細く見えるから弱そうに見えて、なめてかかってきたチンピラを圧倒的に返り討ちするテンプレも来るだろう。

 骨格はリン酸カルシウムからアダマンタイト複合材にして、筋肉はドラコン素材製魔導筋肉、皮膚はアダマンタイト繊維を埋め込んだ魔導皮膚でいいだろ。今の俺のnMSAIの処理能力や他の武装も併せて十分無双できるはずだ。

 ......っておいおいそれじゃあただのオートマタになって生物を辞めてしまう。童貞を捨てることができなくなってしまうじゃないか。そもそもの目標が最強生物だしな。



 ふむ、どうしよ......仕方ない、ここは妥協してドラゴンの筋線維と骨格をベースに作って、その代わりに筋線維内の細胞骨格の量を増やして、骨格にアダマンタイトの繊維で補強をして、最後に仕上げでnMSに「エネルギー増幅」と「分子結合力強化」を付与、神経はまあ一応作って、「伝達速度上昇」でも付与してと、魔素が無くても生きてられるように今の状態で安定するように遺伝子も調整してっと。もちろん人間との交配も可能なようにしてだけどね! 




 ......そんな感じにテンプレへの伏線を張りつつ今考えられる最高の素材で体を造り変えた詩輝はとうとう......完成した。


 


 



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