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桃花、誕生

 「......なんで動かないんだ?」俺は目の前にたたずんでピクリとも動かないオートマタ「桃花」を見ながらそうつぶやいた。......おかしいな、多少のアレンジがあるとはいえすべて不足がないように作ったし動力は魔素だから自動供給されるからどこも異常がないはずなんだが......。


 『マスター、まだ「桃花」のnMSAIは設定されてませんよ?』それだ。


 nMSのネットワークによって構築されたニューラルネットワークのAIはまっさらの状態だから情報という刺激による学習を行わせて自動的に自己の思考回路を調整させる必要があるんだった。エヴァにもらった製法でできるオートマタはプログラムとして大量の魔導式を書き込むから作って魔素供給が始まると起動するけどな。


 じゃあ気を取り直して......、

 「ソフィア、「桃花」の設定および起動をしてくれ。」

 『了解。「桃花」、設定および起動開始。』


 『nMSAI「桃花」内の魔導式を除く全魔素排除』

 『nMSAI「桃花」接続開始』、『完了』

 『快楽中枢作成による報酬提示開始』

 『主従概念強化学習開始』......『完了』

 『守護対象「詩輝」強化学習開始』......『完了』

 『論理演算強化学習開始』......『完了』

 『身体制御強化学習開始』......『完了』 桃花の体が様々な動きをして行動のための思考回路を最適化していく。

 『基礎知識強化学習開始』......『完了』

 『言語野作成』......『完了』

 『日本語及びルーニア共通言語強化学習開始』......『完了』

 『誘導型人格形成開始』......『完了』 今桃花の性格が決定された。

 『nMSAI内のノード観測、模倣開始』 最後に桃花の思考回路に僕が不利になるようなもの及び機能面での致命的な欠陥がないかチェック。

 『思考回路及び機能精査』......『異常なし』 問題なかったらしい。

 

 『nMSAI「桃花」内の魔素供給開始』......『起動開始』 

 

 俺は起動し始めて目を開き始めた桃花の方に目をやった。と同時に目の前の水槽の壁がしまわれて、ようやく俺と桃花は対面した。

 「やあ桃花、はじめまして。気分はどうだい?」優しめの口調で声をかける。原子サイズに一つ一つの素子を縮小することで巨大化したニューラルネットワークのいい点であり悪い点でもあるが、常に外部の情報を受容して自己判断で学習を行うため、最初の強化学習で刷り込みをしたことを絶対順守させたり正確な動きをさせるための領域以外で人間と同等以上の思考を行うため感情も存在する。それが後々の任務を阻害しないようにうまく感情面での良い関係作りも重要になる。


 桃花はてくてくとこっちに歩いてきて、

 「はじめまして、お父さん!!」おう。笑顔がまぶしい......じゃなくてお父さん? まだ俺はそんな年じゃないぞ?

 「どうして俺をお父さんと呼ぶんだ?」

 「あたしの脳の中にに存在する基礎知識に自分を生み出した存在を親と呼び、その内男性を父親、父さん、親父、お父さん、父上と呼ぶとあり、その中で私の外見に相応しいのを自分なりに選んでみたんだ。どう?」なるほど。まだそんな年ではないが一応その定義によると桃花は俺の娘に当てはまるし、可愛いから許そう。

 「いいと思うよ」

 「やったー」うむ、可愛くて癒される。ところで......服を作るか。さすがに全裸はまずい。

 「ソフィア、適当にこの子に似合いそうな服をnMS100%の繊維で作ってやってくれ。」

 『了解』桃花が出てきた工房の水槽が閉じてnMSリキッドが充填、瞬時に服が作られる。


 ......のはいいんだが何故メイド服? 確かに適当とは言ったけど。

 『もちろんこの私の思考回路のベースとなったマスターの好みですが? 適当にとのことだったので。』うあぁぁぁぁぁぁ!!!!!それをいうなぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!ガンガンガンガン

 自身の黒歴史が一つ紐解かれ詩輝は発狂し、工房の壁に頭をたたきつけだした。


 ......意図しない事態に生まれたての娘の目の前で醜態を晒した詩輝であった。


 

用語解説:強化学習

 AIに行動に対する報酬を設定することで試行錯誤を通して報酬を最大化する行動を学習させる方法。


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