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ダンジョンマスターは暇でしょうがない!

初投稿です。色々粗い部分があると思いますが読んでくれると嬉しいです。



「暇っ!」


「……」


「ひまっ!」


「……」


「ひーまーっ!」


「……」


「ふぅぃむぅわぁー!」


「……」


「……紅茶おかわり」


「かしこまりましたお嬢様」


 見た目はまさにイケメンアラサーな銀髪オールバックの執事の男がお嬢様のお気に入りの紅茶のおかわりをカップへと注ぐ。

 それを見た目はまさに幼女が薄紫のツインテールをふわりと揺らし一度香りを嗅ぎ口をつける。


「うん!おいしいわっ!流石タケマルね!」


「ありがとうございます」


「ふふ……あ、そう言えばタケマル」


「はい?どうされましたお嬢様」


 先程までとは違う雰囲気のお嬢様にタケマルと呼ばれた執事も真面目な顔でお嬢様を見る。そしてお嬢様から放たれた言葉は!


「暇……なのよ!」


「……」


 魂がこもっていた!熱のある言葉だった!


「暇……すぎるのよ!」


 この熱さなら執事もきっと何か返してくれる!お嬢様はチラリと執事を見る。


「……」


 執事はお嬢様を見てすらいなかった。


「なんでよっ!?」


 バン!とテーブルを両手で叩き、その小さな体を起こし行儀悪く椅子の上に立ち上がる。その行為に執事は少しだけ眉を歪めるが、お嬢様は構わず続ける。


「さっきまでのはいいわ!ルーの独り言ってことで!優しいタケマルが聞き流してただけって思えたから!でも今のは違うわ!だって話しかけてたもの!ルーはタケマルに話しかけてたもの!」


「……」


「堂々すぎるよっ!」


 テンションアゲアゲなお嬢様はついにはテーブルに片足をのせてツッコム。執事がかなり気に入っているテーブルだということも忘れて。


「え?なんで?ルーこわいよ!タケマルの主人はルーだよね?なんで主人のルーをここまで無視できるの!?まさかルーの姿が見えないわけじゃないでしょ!」


 その時執事に電流走る!


「だいたいだいたいタケマルはいつもいつもいつも……「……あれ?お嬢様、何処かへいかれたのですか?」……え?」


「おかしいですね、つい先程までは確かにそこにいらっしゃったのに」


「え?え?……え?タケマル?ルーはここにいるよぉ?」


 騙されやすいお嬢様は捨てられた猫のように不安な顔で執事を見るが、執事がお嬢様に気づくことはなく目も合わない。


「お嬢様ー、ルーデリアお嬢様ー!……返事はありませんか」


「はーいはいはいはーい!返事してるよ!ルーはここにいるよぉ!」


 声と一緒にバンバン!とテーブルを叩いてアピールするがもちろん執事は反応しない。


「っ!まさかお嬢様に“不幸”と“踊”っちまったような出来事が!?」


「ひぃ!ハードラックとダンスっちまったー!?」


 執事のその言葉にお嬢様は震え上がる!


「タ、タケマルがたまに言う、意味は良くわからないけどなんだか恐い言葉!そもそも不幸と踊るってなに!?“”がつく意味とかルー全然わかんないよ!恐い!恐すぎるよぉ!そ、そんな意味は良くわからないけどなんだか恐い状況にルーはなっているっていうの……?」


 ワナワナと震え崩れ落ちるように椅子に座り込むお嬢様。それを見て執事はうっすらと笑みを浮かべささっとテーブルを拭く。動揺しまくりのお嬢様はそれに気づかず震え続ける。


「だ、だめよルー!こういうときこそ落ちつかないと……!タケマルが教えてくれた魔法の言葉、びーくーるっ!うん、ルーは大丈夫……大丈夫っ!……落ちついたら喉が渇いちゃった……んく……んく。あ、なくなっちゃった……。タケマル紅茶おかわりー」


「かしこまりましたお嬢様」


「あ、ありがとー」


 すかさず淹れてくれた紅茶を飲む。変わらず美味しかった。


「……あぁおいひぃ」


「……」


「って見えてますやん!タケマル、ルーのこと見えてますやん!!」


「なんで関西弁なんですか?」


「タケマルが出してくれたマンガってやつで勉強したの!ていうかそんなことはどうでもいいのっ!騙したのねタケマル!ひどいっさいてー!でべそ!!」


 でべそ違わい。と心の中でツッコみながら涼しげに笑みを浮かべる。


「何を言っているのですお嬢様。魔王だった時、罠にかけた勇者に責められた場面、お嬢様はなんと言いましたか?」


「え?えぇと『ふはは!騙されるほうが悪いの!』だったかな?はっ!?」


「ふふ、そういうことですよお嬢様。騙されるほうが罪人なんです」


「ぬぬ……ぐぬぬぬ…………!ま、負けました」


 二人の争いはお嬢様の投了で決着がついたようだ。執事はまた新しく紅茶を淹れなおす、今夜は寝る前に必ずお嬢様にトイレをさせると決めながら。

 さらにご機嫌直しのためにお嬢様の好きなお菓子を添える。計画通り、お嬢様はぱぁっと顔を明るくしてお菓子にくいついた。


「ねぇねぇタケマルー」


「なんですかお嬢様?また暇だとかなんだとかという話なら無視しますよ」


「無視しないでよ!?た、確かに暇だって話だけど……

でもねでもねタケマル、ここダンジョンだよね?」


「ええ、何を当たり前のことを?半年前にお嬢様が創ったではないですか」


「そう!そうなのにっ!なんで……なんで……なんでっ」


 執事はそっと両手でじぶんの耳をふさいだ。


「なんでまだただの一人もダンジョンにこないのー!!!?」


 お嬢様の叫びが部屋を超え、誰もいないダンジョンにむなしく響いた。







ダンジョンマスター:元魔王のお嬢様。

執事:転生者。

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