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under ground  作者: 七瀬
第3章・2つのセカイ
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2話・一ノ宮財閥

 裂け目から佐久良町の裏山に出た。携帯を開く。時刻は夜の22時。そして大量の着信やメール。

「……連絡しとこう」

 鞄は屋敷の崩壊に巻き込まれてしまったので、学生服と携帯と財布位しか持っていないが何とかなるだろう。

 充電器の予備は家にあるし鞄も買っておいたし……教科書とかは購買で買えばいい。とにかく家に向かおう。

 風呂に入りたいし飯も食いたい。捜索は明日からにしよう。

 学校は……どうするべきか。思い直しては見たがやはり学生の本分だ。行かねばならない。キルシュバウムに居る意味は今は無いのだから。

「ふあぁ……」

 気が抜けたのか急に眠気が襲ってきた。色々あったのだ。疲れていて当然だ。

 俺はゆっくりと山を下っていった。


「ただいまー」

 久しぶりに家に帰ってきた。美鈴にも心配を掛けてしまった。数発殴られる覚悟はしておこう。

「おかえりー。お風呂炊いといたよー」

「おう」

 ん?いつもと変わらないぞ?俺の方を見ずに雑誌読んでるし。

「悪りぃな」

「ん。分かってるから。あたし、もう寝るね」

 美鈴はそう言って部屋に戻る。

「……?」

 なんか辛そうな顔をしていた。それに分かってるって、何をだ……?

 1人取り残された俺は暫く考えていたが、考えるのを止めた。

 とにかくゆっくりしたい。

 何もかも、忘れてー


「……あれ?」

 風呂に入ってからの記憶が無い。ちゃん腹も満たされているので飯も食べたのだろう。いつ部屋に戻ってきて、寝たんだ?

「どんだけ疲れてたんだよ……」

 携帯を見ると朝の6時だった。真衣子や明美、神崎からの返信が来ている。昨日の内に送っておいたのだ。

「ふむふむ」

 無事で良かったとか、詳しく話を聞かせて欲しいだとか主にそういった内容だった。

「とにかく学校に行ってからだな」

 階段を下る。テレビの音が聞こえるので美鈴は既に起きている様だ。

 久々に朝飯でも作ってやろう。

「おはよう」

「おはよう、お兄ちゃん」

 ふむ……昨日の辛そうな表情は気のせいだったのかもしれない。いつも通りだな。

 安心して、眠気を覚ましに洗面所へ向かう。蛇口をひねり顔を洗う。うん、気持ち良い。

 さて、朝飯をー

『次のニュースです。一ノ宮財閥の当主・一ノ宮紫苑氏が昨夜死亡しました。紫苑氏が住んでいる屋敷内で床に倒れているのを屋敷の世話係が見つけ、発覚したとの事です。凶器は遺体の側に落ちていた刃渡り5センチ程のナイフで、警察は他殺との見解をー』

 作ろうとしたところで、テレビからこんなニュースが流れてきた。直接俺には関係無いが、朝から嫌な気分だ。

 一ノ宮財閥の解体。以前一ノ宮紫苑氏が行なう筈だったがそれが原因なのではないか、とか個人的な恨みが原因とかキャスターやら専門家やらが議論しているのを横目に見つつ台所に立つ。

 一ノ宮先輩に色々聞いてみなければならない。答えてくれるかは分からないが。と、それより朝飯朝飯。

「ねぇ、お兄ちゃん」

「んー?」

 美鈴が話しかけてくる。

「一ノ宮華蓮って子、知らない?」

 ボソッと呟く美鈴は、俺を見ていない。何処か遠い所を見ている。

「……いや、知らないよ」

 動揺を必死に隠しながら、言葉を返す。昨日からどうしたというのだ。

「そう……なんかね。行方不明なんだって、その子」

「……」

「何か分かったら教えて」

 返事は返せなかった。


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