2話・隠れ家
「私達の目的は話したわね」
「あぁ」
王政の打倒。これがフェリア達、王政反対派の目的だ。それを成し得る為に王都に足を運び続けてはいるが中々成果は挙げられていないらしい。
「毎回毎回衛兵に邪魔をされて上手く動けていないのよ。それに加えてあの城……ロズウェルが何か細工を施したみたいなの」
王都の中心部に聳え立つ城。今まで彼処に近づけた事も無いのだとフェリアは話す。
「2年間、度々王都には来ているけど……城に辿り着くどころか中心部にすら入れていないの」
フェリア曰く、中心部には魔獣が居るのだと言う。そいつらが中心部に入ろうとする王都の民以外の人間を殺戮しているとか。
勿論、人間による処刑も度々行われているが。
「中心部に関しては最近になって魔獣が確認されたの。それまでは衛兵と王直属の騎士しか居なかったのに」
「ロズウェルの野郎が何かやりやがったと考えるのが妥当だろうな。召喚士でも雇ったか、若しくはロズウェル自身が召喚したかだな」
つまりは情報がまだ足りていないので、今日は情報収集をするらしい。
「この路地に来たのは、此処にある建物の1つが丁度拠点だからなの」
「拠点?」
衛兵の拠点じゃないだろうな?
「反王政派の拠点よ。王都の内部で情報を集めて貰っているの」
「王都内にもそんな奴等がいるのか」
普段はロズウェルに従っているが、裏では色々と工作しているみたいだ。
「でも、普通に路地に面してる建物だろ?衛兵達が見回りに来たりするんじゃないのか?」
「来るわよ。まぁ、別に従ってれば問題ないから。裏で反王政派と繋がっていてもね」
件の拠点は転移した場所から少し奥の方にあった。外観は路地にある他の西洋風の建物と全く変わらない。
反王政を掲げているのだから、そんな感じの建物になっている筈だと思っていたがそんな事は無いらしい。
「バレなきゃいいっつう……」
「その通りよ。当然衛兵が立ち寄るから、正直に従いなさい、貴方はね」
ん……?ちょっと待て。確かフェリアとロベルトは昨日衛兵に会っていないか?顔が割れているのでは……
「私達は衛兵に目の敵にされてるから従っても意味ないしね。拠点がバレる度に一々変えるの面倒だから来ないで欲しいんだけどなぁ」
「そりゃ無理な話だろ、嬢ちゃん。ま、衛兵が来ても魔術で一掃すっから心配いらねぇよ」
一掃……衛兵に見つかる度に拠点を潰して逃げてるって訳か。
「犠牲になった人は?」
「何人も。目を離した隙に連れて行かれて処刑されたわ。でも、それは対抗策を持っていなかったからよ。今は、その策がある」
衛兵達が知らない魔術。それがフェリアの言う対抗策。俺も少しだけ魔術を覚えた。いざとなったら俺も自分の身を守らなければならない。
「さて、中に入りましょう。衛兵に見つかりたくないし」
フェリアが扉を開く。中からは男女の声。かなりの人数がいそうだ。
ロベルトと俺も続いて中に入る。
「お!新しいお仲間かい。フェリア」
「おはよう、フェリア!」
「ロベルトも来たのか」
「見慣れない顔ね」
「仲間が増えるのはいいわね」
喧騒が耳を打つ。口々に話しかけられる。まだ半分寝起きでこれは辛い。頭を押さえながら一番奥へ向かう。
一際目立つ椅子があった。何処かの城にでもあったのか、見た目はかなり豪勢だ。
そこに、白い髭を蓄えた威厳のある老人が座っていた。




