1話・侵入
俺にとって激動の1日目が終わった。
フェリアとの話の後、晩飯を食べ風呂に入って眠って起きたら朝になっていた。
2日目の始まりである。そして今日は王都に足を運ぶ事になっているのだ。
フェリアが呼びに来るまでは部屋で待機だ。正直怖いと言えば怖い。またいきなり腕を飛ばされたりしないだろうかと考えてしまう。
だが、あの時とは違い、魔術が使える。これは少なからずアドバンテージになるだろう。何せ衛兵達は剣術しか使えない。魔術の存在を知らないのだから。
まぁ、フェリアとロベルトが居るから任せればいいか。
「シュウ、起きてる?」
噂をすれば、だ。扉を開けると赤色のドレスを着たフェリアが立っていた。その近くにはやはりガンマン風の服に身を包んだロベルトも居る。
「起きてるよ」
「なら良かった。さあ、王都に行くわよ」
「少年、良く眠れたかい?」
「ぐっすり寝たよ。あー、ロベルト。ちょっと聞きたいんだけど……」
俺は何故フェリアはドレスを着ているのかとロベルトに聞いた。昨日から気になっていたのだ。
「あー……まぁ、嬢ちゃんの趣味……だなぁ、あはは」
はぐらかしやがったな……
「ロベルト、シュウ。早く」
急かされたのでこれ以上は聞かない。
庭へと出る。魔術によって抉られた跡は全く無い。修復されたのだろう。
バートリーには会いたくないものだ。
屋敷の門の前でフェリアが立ち止まる。
「この屋敷は結界の内部にあるの。出るにはただ門を出るだけでいいんだけど、入るのはちょっと厄介だから……それは帰りにでも教えるわね」
と言ってフェリアは門を出る。
(……ん?)
出たと思ったら視界から消えた。続いてロベルトが出て行く。同じく姿が消えた。
(まぁ、出てみるか)
後に続いて、屋敷から出る。
目の前にはちゃんと2人が居た。
「後ろを見てみて」
フェリアに促されるまま、振り向く。
「あれ……?」
木々が生い茂っている。屋敷は無い。いや、見えなくなったというべきか。見えなくなったとしても存在はしているのだろう。
「結界の効力でね。認識を狂わせてるのよ。只の森に見えるでしょ?」
なるほど。確かに森にしか見えない。屋敷があるとは分からないな。
「結界は様々な種類があるの。保護に適した物、人間を閉じ込める為の物とかね。因みにこの結界は屋敷の主が掛けているの」
「へぇ」
ここまで完璧な結界なのだからそうそう王都の奴等が屋敷に入って来る事も無さそうだ。
「で、王都まではどうやって行くんだ?」
まさか歩いて正面から侵入する訳ではないだろう。
「村と王都の境には詰所があるからね。正面からは入れないわ。だから、ゲートを使うの。ただそれでも衛兵に見つかると面倒なのよね」
ロベルトの目が青く光っていた。魔術を使っているのだろうか。
「衛兵さんも人数には限りがあるからねぇ。警備が手薄なところから入って行きたいけど……」
「なぁ、フェリア。ロベルトは今……」
「王都内の状況を視ているの。隅々までね」
なるほど。状況を把握してからでないと厳しいよな。
「ふむふむ……嬢ちゃん、繋げられそうな場所見つけたぜ」
「周りに人は?」
「居ないよ」
そう言うなりフェリアがゲートを出現させる。ロベルトが飛び込み、俺も飛び込む様手招きされる。そして最後にフェリアが飛び込み、ゲートを破棄して王都への侵入に成功した。




