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10分程歩いて、私立佐久良高校の正門前に辿り着いた。既に式を控えた新入生やその保護者達が大勢いる。
「えっと、確か教室に行くんだっけか?」
「うん」
正門を抜け、広大な敷地内に入る。いやはや金を掛けているだけあって設備が充実している。高校だけでなく小学校、中学校、大学まであるのだから凄い。
まぁ、バカにならない額の学費を払っているのだからこれくらいじゃないと割に合わない。叔母が医者をやっているお陰で助かった。俺と美鈴を大学まで行かせる位には貯蓄はあるので問題はない。
「クラス分けは何処に書いてあるんだっけか?」
「昇降口前の掲示板って案内あったでしょ。忘れたの?」
「あぁ、そうだったっけ」
で、件の昇降口前に着いた訳だが、案の定ごった返していた。これでは確認も難しい。うーむ……1-Aから1-Gまであるのは辛うじて分かったけど、肝心の名前が見えないなぁ。
出来れば、真衣子と同じクラスが良いのだが。知ってるやつがいるのと1人も知り合いが居ないのでは、だいぶ違うからな。
「修平。私と同じクラスだよ。1-Bね」
「え?」
いつの間に確認していたのか、真衣子は昇降口内に入って行く。俺はただ後に続くだけだった。願いは叶ったからいいけど、なんか釈然としないな……
昇降口に入ると、視線を感じた。見透かされる様な、気持ちの悪い視線。振り向いてみるが、それらしき人の姿は見えない。勿論、昇降口にもだ。
真衣子も感じていたのか、少し顔を歪めていた。
「教室行こうぜ」
「そうね」
視線を振り切る様に、教室へと向かった。
教室には、既に何人か生徒がいた。本を読んでいたり、机に突っ伏していたり、仲良くなったのか談笑している生徒もいる。
黒板には席順が掲示された紙が貼ってあった。縦6列、横6列なので36人といったところか。んで、俺の席は窓際の前から4番目か。真衣子は窓際の前から3番目。
作為的な物を感じながら、席に座る。
これから1年間過ごす場所となるのだ。真衣子以外とも関わらなくてはいけないが、人見知りな俺だ。他人と関わるのは少し怖い。
だが、真衣子に頼りきりでは駄目だと、自分で何とかしなければならない事もあるのだと考えれば、自ずと上手くいく筈だ。
ちょっと情けないな、俺。
「あれ?やっばり修平と真衣子じゃん!」
ふと、声を掛けられた。声の主は髪をポニーテールにした活発そうな女の子……ん?こいつ、確か……
「あけみんだ〜、久しぶり〜」
そうだ。澤村 明美だ。中学校の同級生で、陸上部に入っていた。あの頃はショートカットで男みたいだったから気付かなかった。
明美は心を許せる数少ない親友なのだ。記憶の事も知っている。
「久しぶりだな、明美」
「また同じクラスだね!よろしくね!」
「よろしく〜」
案外、やっていけそうなそんな気がした。




