負け犬達
おはようございます。
KURAです。
お久しぶりです。
もう開き直ってます。
「かんぱーい!」
そう声を上げた。
複数の声が混ざったその声は大きく聞こえる。
俺たちはクランのみんなで俗に言うオフ会というやつをしていた。
「負けたなぁ〜」
俺は力が抜けるようにそう呟いた。
あの後結局天使達の物量に押し潰されて負けてしまった。
マナは壊されないようにしたし、取り返しのつかない損害は無いのだが。
「そりゃ負けるでしょ。最初っからそういってたじゃないか」
そう俺の独り言にツッコミを入れたのは隣のヨルだ。
独り言なのだから流せば良いものを。
ガヤガヤと少しずつ騒がしくなっていく中俺は返事をする。
「そうはいってもだな。悔しいもんは悔しい。ま、それ以上に楽しかったな」
「だね〜。あ、多苦〜! こっちこっち」
ヨルはそう言って多苦を呼び寄せた。
アレか? 幹部連中をここに呼ぶのか?
「よォ負け犬」
「あぁ、負け犬」
そう俺と多苦は挨拶をする。
多苦はニヤリと笑い、俺もニヤリと笑う。
すると多苦が話出す。
「どんだけやれたんだ? 親愛なるクランマスターさんよ」
「クラウンにゃ勝ったぜ? お前らと違ってな?」
「負けちゃいねぇさ」
「でも勝ってもねぇだろ?」
そう二人でニタニタと笑いながら話してるとヨルが口を挟んだ。
置いてけぼりで不満そうだ。
「僕が呼んだのに放置ってのはどうかと思わない?」
「そういやヨルは誰かやったのか?」
「俺も聞いてないな」
「その話しかけられたらとりあえず煽る癖どうにかしたら!? ちゃんと君らのとこに天使が行かないようにしてたんだぞ!?」
「らしい」
「俺のとこには来たな」
そう肩をすくめながら多苦に言ってやると普通にヨルから殴られた。痛い。
そのあとも3人で話をしていると一人近づいてくる男が一人。
「お、シャドウじゃん。現実でも影薄いなお前」
「薄いんじゃなくて薄くしてるんだけどねぇ……。ってか盛り上がってるね」
「そりゃね。シャドウのとこには誰が行ったんだっけ」
「あー、剣のやつ」
ヨルの問いにそう答えるシャドウ。
剣か。王道だなぁ。
剣王とでも言うのだろうか。
ふと、多苦に誰を倒したのか聞くのを忘れていたことを思い出す。
「あれ、そういや多苦は誰が来たんだ?」
「あー、鍛治王……? だったか。勝てたっちゃ勝てたんだが殺された。しかも俺の存在使ったのに」
「は? 多苦あれ使ったのか?」
「おう。だが俺以外にもこういう代償払ったやつ多いんじゃねぇの?」
「まぁねぇ〜。僕たちが簡単に倒せたら王なんて名乗ってないからね」
四人でシャドウの戦闘の話や多苦の戦闘の話を聞いたり雑談をしたりしていると最後の男がやってきた。
「元気だねぇ。楽しんでる?」
ポイズンだ。
ヨル曰く一番生き残っていたのはポイズンらしい。
まぁ、どちらかと言うと長期戦が好きだからなぁコイツ。
「ヤッホ、君のトコって誰が来たの?」
「俺のとこ? 俺のとこは……確か決闘王だね」
「決闘王?」
思わず知った名前が聞こえたため声が出てしまった。
まだ始めたての頃の俺がボコられたというあんまり良い記憶ではない残り方をしているのだが。
「ありゃ知り合いだって?」
「昔ボコられてね」
「あっはっは、図らずも敵討ちしたのか俺は」
「殺せたのか? アイツ」
「殺せてないよ? 二日間無力化する毒打ち込んだけど」
あぁ、アレか。
何故知っているのかと言うと実験台になったのが俺だからだ。
自分で記録とるのもいいらしいのだがステータスが俺の方が高いため下がった時の差が大きいのは俺なのだ。
だから実験台になったのだが二日間レベル一に戻されて何も出来なくなったのは流石に戻った後思いっきりシバいたのだが。
「へぁ〜みんな結構戦えたんだねぇ」
「ヨルお前もやれんだろ」
「やだよ。どんだけ代償持ってかれると思ってんのさ」
「あ、多苦なんか知ってんの?」
「あーこの中じゃ僕の奥の手知ってるのって多苦だけなんだね」
多苦とヨルは結構な古参らしく、二人は長い付き合いというのはよく聞くのだが、やはり奥の手等よく知っているらしい。
「なに? 俺みたいにレベル捧げる系かい?」
「んー、どっちかというと代償は多苦に近いよね」
「……あーそうか。存在を捧げるって意味じゃ同じか」
シャドウが言った言葉を否定し、多苦に近いと話す。
ヨルの奥の手、というのは俺も見たことがないし、たしかに思ってみると今回のように追い詰められると言うことは少ない。
「存在ねぇ。存在自体に効く毒って作れると思う?」
「作れるよ? 多分。呪術でそういうのあるし。今度教えてあげるよ」
「助かるー」
存在か。
存在というと回復することがなく永遠に失われるのだが、腕を捧げると一生片腕なのだろうか。
そこらへんあまり聞いてこなかったのであまりわからない。
多苦にちょっと聞いてみることにした。
「そういやお前存在捧げたって言ってたけどどうなるんだ?」
「データ消去したようなもんだ。もう一回作り直してまたやり直し。腕とかだと不便だし、俺はこうするのが多いんだよ。早いし」
いや、一からのほうが不便だろという感想を持ったが多苦的にはそっちの方が楽なんだろうと思って何も言わなかった。
「奥の手ねぇー。また今度大変の事になったら見せてあげるよ」
「おお、そりゃ俺が引っ張ってこないとな」
「うちのクランのマスターはなんでこんなトラブル気質なんだろうね」
そううんざりとした雰囲気でヨルが話せば、すぐにポイズンからツッコミが入った。
「言うて本気で止めないアンタも楽しんでるでしょ」
「……まね?」
そりゃ楽しくなきゃ辞めるだけだしな〜。
結局ヨルの奥の手、とやらはわからなかった。
ちなみにもうすぐ終わります。
あと二、三話くらいかな。
もっと早いかも。




