毒、毒、毒
こんばんは!
KURAです。
時間がたらねぇ!
「ふぅーー、うーん、次、かな」
彼はあれから何時間も撃退している。
何故か、彼は消耗しない戦い方をしているからだ。
いや、正しく言うなら消耗しているのだが、それは別の話に。
彼の吐き出す煙が毒になっているのだがそれはスキルであり、彼の部下が使っていたようなアイテムの毒ではないため、長期間に渡って、戦闘ができるのだ。
「きた、か」
「やぁ、運が悪いね。君も」
「……マジかよ。大当たりじゃねぇか!」
「……凄いね、これは」
ロベリアもこれには思わず苦笑いを浮かべる。
「まぁ、いいや。決闘しよっか」
「喜んで」
決闘王、これはつまり王が動き始めたという事を意味する。
《battle start!》
「すぅ、はぁ。そう簡単に落ちると思うなよ?」
「良い度胸してるね。楽しいよ」
ロベリアは駆け出して、薄く漂うポイズンの領域に突っ込んだ。
まさに自殺行為である。
だが、愚行は愚者がするのだ。愚行も強者が、賢者がやれば最適解へと昇華される。
「甘い、甘すぎるよ。こんなんで止められるなら僕は王じゃない」
「わかってますよ。おたくを舐めるほど強くないですから。だから、二の矢はどうだ?」
薄く積み重なる毒の霧がポイズンの持つボウガンをけしてしまっていた。
そしてロベリアは回避することもできず肩へと被弾をし、体の小さいロベリアはくるくると回りながら倒れた。
「……アハハ……ハハハ。ハハハハッ! 良いねぇ。ジャイアントキリングッ! まさしく決闘の花だ。だが、まだやれないねぇ。僕の命は」
糸があるかのように立ち上がるロベリアの目が鈍く光った。
ポイズンは少し足りとも気を緩めていなかった。
何故ならば、終わったとなぞ少しも思っていなかったから。
そしてabo、トッププレイヤーの真の恐ろしさを耳にしたことがあったから。
「場所を移そうか。君が本当に倒したい僕であろう」
光が広がり、森が書き換えられていく。
古い、コロッセオへと、ヨルの作った空間は作り替えられていく。
「戦場はここだ。僕の戦いを始めようか」
「楽しくなってきたねぇ」
この特別な空間は街中での決闘での共有空間ではない。
特別な、ロベリアだけに許された空間である。
空間に移動するのではなく書き換える。
相手を自分の土俵に引きずり込む。
トッププレイヤーの基準はコレなのである。
「愉しくなってきたねぇ」
ロベリアの姿が消えたように無くなる。
ポイズンが目を動かした瞬間後ろから衝撃が伝わった。
「おいおい、反則だろ」
「反則じゃない。僕の能力だ。決闘は能力を競う場所。負けてる君が弱いだけだ」
ギリッと奥歯を噛み締める音が聞こえそうな顔をするポイズン。
また少し息を吐いて、幾つかの注射器を体にうった。
「こういうのは待ってくれるのか」
「そりゃ全力で戦うのが決闘だからね」
「そりゃどーも」
ポイズンの体が変な色になったり、動脈が異常に出ていたり、鼓動していたりしだす。
「わお、このゲームって生物兵器系のゲームだっけ?」
「時間制限あるんだ。店じまいはパーッといこうかね」
ポイズンが右手で殴りかかる。
頭狙いだったのだが、感触は固い。
「嘘だろ、コレに合わせんのかよ」
「……僕も驚いてるよ。ここで僕と一緒なんて、ね!」
まるで稲妻のような蹴りをポイズンは腕で受け止め、もう一方の腕で足を掴み、地面へと叩きつけた。
「ガッ、ハッ」
だがロベリアも負けていない。
そのまま足払いをする。
そして体勢の崩れたポイズンの腹に肘打ちが炸裂した。
「ガッ、ア。ゲボッ」
ポイズンが血を吐いた。
ロベリアはそれを見て、心底つまらなそうな顔をした。
「時間切れ? 早すぎるよ」
「そうか? 十分過ぎたぜ」
はぁ、と気がほんの少し緩んだ時にポイズンが動いた。
ロベリアの首へと注射器を刺したのだ。
「……力が……抜ける?」
「ハハハハハッ! それは約二日レベル一相当にまでステータスを下げ、スキルを無効化する俺のとっておきさ! 家で家族とでも話すんだな! ハハハハハッ!」
体の不調から冷や汗をかき、血もはきがら、心底楽しそうに笑って死んでいった。
「……してやられたなぁ。ヘル君と再戦したかったんだけどなぁ」
決闘王、イベント脱落。
次の更新確実に遅刻しますけど朝にでも読んでください。




