天誅
こんばんはー。
大変遅れて申し訳ない。
「御用改めである。神妙にしたまえ」
黒づくめの男が目の前に立っている。
まぁ、黒づくめくらいは見慣れているのだが。
……だが不味いな。天誅はよくわからないが、今ギルドにいるのは俺だけだ。
他は用事により出掛けている。
「まてまて、心当たりがないな」
嘘だ。
めちゃくちゃある。
まぁ、おんなじくらいの実力のギルドとはいえ、潰しまくったからだ。
まぁ、こちらの損害も大きいのだが。
「……天誅」
抑揚の無い言葉が耳に届くと同時に視界が回る。
あ、死んだな。
それにしてもコレプレイヤーじゃなさそうなんだよなぁ……。
そう思う間に闇に沈んだ。
「何処だよここ。」
次に目覚めると、牢屋に繋がれていた。
ふむ。おかしいなぁ。メニューが使えん。
むむ、騒いでみるか。
「あー、あー。誰かー」
「五月蝿い! 罪人は黙れ! その舌を切り刻んで食わせてやろうか!」
遠くの方から怒声が飛んできた。
こわいこわい。
それにしても遠かったな。
地獄耳か?
「おい、新入り。やめとけ。あの耳野郎にかまってねぇでこっちに自己紹介してくれよ」
「……む。すまない。気づかなかった。自己紹介の前にここが何なのか説明してくれないか?」
そういうと太りぎみの男は快く教えてくれた。
ここは刑務所であり、そして神営。
神がやっているそうだ。そしてココに入れられたものは神に目をつけられたという証拠、らしい。
「何やったんだ? 大人しそうなのに」
「いや、ギルドを十個ほど潰しただけだが」
「あ、あんちゃん結構やってんなぁ……」
そう若干引いた顔を見せるポッチャリ系野郎だが、チラチラ見ている。
聞いてほしいのだろう。
「あんたは? あんたは何やったんだ?」
「俺か? いや、神殿の神様の像酔っぱらってぶち壊した」
「バカ……なのか?」
「いやっはっは! 斧でゴンッてしたらぶっ倒れやがってさぁ! そしたら天誅って言われて気づいたらここよ」
「いや、バカだろ。あんた以外にもここにいるのか?」
「おう、紹介するよ」
部屋の奥にいくとまた一人いた。
ガリガリだが筋肉はついている。
身軽そうだな。
「……新入りか。よろしく頼む」
「コイツはディック! コイツなんて寄付金盗んだんだぜ? バカだよなぁー!」
「貴様に言われたくないわっ! このポッチャリ男!」
「んだと!? ガリガリ野郎め!」
「おい、ポッチャリ、ガリガリ。喧嘩はやめろ」
「……まぁいい。ここは別に上下関係なんざない。好きにやれ」
布団に腰かけるガリガリはそう話す。
彼はもともと泥棒だったのだろうか。
まぁ、良い。手始めにここどうにかしてぶっ壊すか。
「何かこの新入りやばそうだぞ? ガリガリー」
「……だな。まぁ面白そうだからいいんじゃないか?」
「うるさいガリポチャブラザーズ」
「んだよそれ! 俺にはなぁーフットっていう立派な名前がなぁー」
「クククッ……」
「つぼってんじゃねぇーガリガリ!」
なかなか楽しいやつらだ。
NPCか? まぁ良いだろう。
ギルドに欲しいな。
……さて、ここをめちゃくちゃにする算段をつけなければ。
部屋にトイレ、手洗い完備で、ほぼ出す気はないだろう。
……トイレボロいなぁ~。
便座がもう取れそうだぞ?
「このトイレ壊れたことは?」
「俺は結構ここにいるが、ないな。何故だ?」
「いや、ちょっと……ね。……まぁ、な」
親指で声の聞こえた方向をさし、言う。
するとガリガリは頷くとある物を出してきた。
「……」
ズリズリとそれを床に擦るガリガリ。
それは木炭だった。
幸い床は白なのでよく見える。
ガリガリが書くには。
『これなら大丈夫だ』
『アレを壊して外のトイレに行ってちょっと偵察しようかと思ってさ』
『なるほど。良いかもな。だがあいつらがどうするか。そしてどうやって自然に壊す?』
『とりあえず便座ごと圧をかけてぶっ壊すのはどうだ? これだけボロいならありえないこともないだろう』
『まぁな。脱出するなら俺も参加したい。 ここにいても暇なんだ』
『わかった』
こうして筆談は終わり、俺はとりあえずトイレを壊すことにした。
俺はあんまり力は強くないがこれくらいならできる。
バキッ! と音がなりトイレが壊れた。
ドタドタドタッ! と足音が聞こえる。
さて、ここからが正念場だ。
ほんっと最近書かなくなっていて申し訳ない。