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引っ搔きは辛うじて避け、咄嗟に剣を盾にして防いだ。額から少し、血が流れた。
「憎いぞ、人間。殺してやる。」
こいつ喋れるのか。僕の状況は、悪い。どう打開すればいいんだ。こんな所で死にたくない。怖い。
僕は足で突き放し、間合いを取った。
「うぉーっ!、こんな所で負けるわけには行かないんだー!」恐怖心を抑え、僕はそいつに突っ込んで行った。
そいつは僕に襲いかかろうとする前に倒れた。
「え?」
僕は驚きと安心が混ざり、この状況に少し戸惑った。
「間一髪セーフっ!戻りが遅いと思って、探しに来たら、これだよー。ソラには死んでもらったら困るんだから、しっかりしてね!」
クオンだった。彼女は弓の名手であり、その矢で急所に当てたのだ。
「ほんとに助かったよ。ありがとう、クオン」
「いいよ別に!ソラ、血が出てるよ!ちょっと見せてみて!」
クオンに手当てされ、少し距離が近くて、ドキッとした僕であった。
「ソラ、大丈夫か!」
「ソラっち、大丈夫なん?」
他の2人も慌てて、後から来たのだ。
「2人とも声がかぶってますよー!ソラさん無事でなによりー!」
ベルもそれについて来ていた。
「あの狼みたいなのは、なんだったんだ?」
「ソラさん、あれが魔獣と言われる存在です。奴らは言葉が喋れて、知能を兼ね備えた魔獣です。いつどこから出てくるか、分からないので気をつけてください。」
「そうなのか、わかった。 あ、そういえばさベル。この手の甲が光ってるのは何だ?」
「それがスキルを修得した時の印です!今回のスキルは、エレメントソードですね!これは、自分の持つ剣の力を強化します。」
「やるじゃん!ソラっちー!ウチにはまだ及ばんけど、とりあえず成長やな!」
使えるのかは、分からないけど、修得できたことに僕は嬉しかった。
その後も、道中に魔獣と対峙したが、少し危なげに仲間に助けてもらいながら、倒すことができた。
そして、隣街なオルフェリアに僕たちは到着した。
最初の街よりは、はるかに広く発展していて、武器や食材、施設などは充実していた。街中もにぎわっていた。
「とりあえず、ここの街で情報収集と食料調達をしよう!」
りょーかい!と皆は声をそろえた。
「あ、ウチここに前に来たことある!めっちゃイイ温泉あってん!クオン一緒に入りにいかん?」
「それは気持ちよさそうだな!少しの休みということだし、私も入りたい!」
2人はなにやら、温泉で盛り上がっているみたいだ。
「じゃあ、エドワード。一緒に情報収集しよう!そっちの2人も出来ればお願いするよ。日が落ちる頃に、ギルド前に集まることでいいかな?」
僕とエドワード、クオンとハクで分かれて情報収集することになった。