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「兄さん!またこんなとこで寝てる!風邪ひくよ!起きなさいっ!」
ん?メイの声だ。
とても懐かしい。
「私先に行くからね!待ってるから早く準備して来てね?」
メイがそう言って、暗闇に消えていこうとしている。
待て!行くな。行っちゃだめだ!
メイっ!
僕は叫んだはずなのに、メイは全く聞こえてないかのように姿を消した。
「ハッ!」
僕は意識を取り戻した。
なんだか柔らかくて心地いい。
それと何か冷たい。頬が濡れている。
「うわっ!クオンっ!」
クオンの膝の上で僕は眠っていたようだ。
彼女の綺麗な青い目から、涙が流れていた。
「ソラは、ほんとにバカだよ。なんで大切な命を大事にしないの。生きてて、ほんとによかった。」
「ごめん。」
小さな声で僕は言った。
戦いの後、僕は自分の力を使い切り、意識を失った。
そして、塔は崩れ始めたのだ。
ハクが間一髪で僕を見つけてくれたらしく、
瓦礫の下敷きになるのは、避けれたようだ。
僕の体は相当な負荷をかけたみたいで、ボロボロな状態にあった。
エドワードも龍と奮闘したが、ダメージは大きかったみたいだ。
傷の手当ては、狩人でありながらも薬師でもあるらしく、持参していた薬で僕とエドワードの処置してくれた。
「いつまで、私の膝で寝てるのかな?」
クオンは少し怒っている。
「ご、ごめん!あ、イタタっ!」
起き上がろうとしたが、筋肉痛の500倍の痛さが全身に響いた。
「仕方ないな、ほんとに。あと少しだからね。ソラ、次あんなこと私の前でしたら、許さないからね。」
そう言って、クオンはもう少し膝枕をしてくれた。
はい。と僕は深く頷いた。
「ハク、エドワードは大丈夫なのか?」
「さっき起きて、喉渇いてたみたいで近くの川に行ったよ。」
あいつは化け物か…
龍玉のためだけなのに、みんなに迷惑かけちゃったな。
ただ、この戦いは意味のあるものだった。
「なに落ち込んでんの?龍玉失くしたんちゃうやろなー?失くしてたら、空間の狭間に行ってもらうからな!」
「いやー、みんなに迷惑かけたというか、怪我させたり、心配させたからさ。あと、龍玉はちゃんとあります。」
龍玉をすぐに僕はポケットから出して、見せた。
「そりゃ、みんな仲間なんだから、迷惑もかければ心配もするだろ。ソラは、やっぱりバカだな!アハハハっ!」
エドワードが川から戻って来て、僕に言った。
それから、クオンの薬のおかげで立って歩けるまで回復したので、オルフェリアへ戻ることにした。
街へ戻ると、街の中はお祭りか何か分からなかったが盛り上がっていた。